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第121話
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仕事が終わるまでの間、何人もの同僚が声をかけてくれた。
突然有給を使って長い間休んだから、体調不良なんだろうと心配してくれていたらしい。
なんていい人達なんだと、不安がっていたことを反省する。
ここは前にいたブラック企業では無く、皆余裕があって優しい人達ばかりだ。
とはいうものの、体はまだしもやっぱり心は疲れたみたいで、退勤時間になる頃にはデスクで俯いたまま動けなくなってしまった。
皆帰っていってフロアから人が居なくなる。それでも中々立ち上がれないでいると、まだフロアにいたらしい北田さんがやって来て僕の背中をトンと軽く叩く。
「大丈夫?」
「大丈夫です。もうちょっとしたら帰ります」
「……橋本さん呼ぶよ。顔色悪い」
「あ……大丈夫です。行けます!」
勢いよく立ち上がって微笑んでみせると、北田さんは眉間に皺を寄せた。
「上住君。俺はただのベータだからアルファやオメガの人の葛藤はわからない。けど、体調の悪い時とか……第二の性別が理由で起こる事件や、もちろんその他に何かしらの原因があって辛い時は、誰かと気持ちを共有する方が一番心が楽になるんじゃないかなって思う。」
「……」
「アルファやオメガでなくても、恋人や家族、信頼できる人に頼るだろ?俺は何か元気が出ないなって時とか、考えがまとまらなかったりした時でも、相談するよ。その方が気持ちが整理できる。」
北田さんの言いたいことが理解できる。
でもそれをなかなか行動に移せない。
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