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7月2日 気になる人
◇ Monday ◇の前の日
最近気になる人がいる。
「おはようございます。ひろとくん、ひろとくんパパ。」
「おはようございます。」
息子(ひろと)の担任である、尚弥先生。
たしか今年3年目だと言ってたかな。
子供たちが大好きで可愛くて仕方ないという顔で毎回迎えてくれる。
そんな顔が可愛いなと思ったのは、ひろとの担任になってすぐのときだった。
それまでも何度か見かけたことはあるが、あまり意識したことはなかった。
ひろとが年長になって担任になった尚弥先生が戦隊ごっこをしてくれるとかサッカーが得意だとか色々話を聞いてるうちに保育園最後に良い担任に出会えてよかったなと思うようになったのがきっかけで、たまに早くお迎え行けるときにこっそり見てたりもした。
よく笑い、若い男の先生だからか、男児と遊んでることが多いみたいだ。
明るくて太陽みたいな子だなと、気づけばひろとの担任だけではなく、プライベートな彼を知りたくなった。
子供の保育園の先生にこんなこと思うのはおかしいけれど。しかも俺も彼も男だし・・・・・・。
そんなとき、七夕行事をやるために園児と保護者から1枚ずつ短冊を書いて提出するようにお手紙が入っていた。
ひろとの願いは『ぱぱのようになりたい』だった。
俺みたいになりたいって・・・・・・まあ尊敬してくれるのは嬉しいけど、仕事を優先しすぎて、元妻に愛想尽かされたしなあ。ひろとにはそうならないで欲しいけど、子供から貰える言葉の中で最高の褒め言葉じゃないか?
「ひろと、ありがとう。」
「パパは?おねがいごと、なにかいた?」
「・・・・・・パパはね、ひろとがいつも楽しく話してくれる尚弥先生とお友達になってみたいなあ。パパもひろとと同じで尚弥先生が好きだからね。」
「パパ、ともだちすくないからな。なおやせんせいならきっとなってくれるよ!」
「それならいいな。さ、ひろと。もう寝る時間だよ。」
トントンと寝かしつけながら、俺は賭けに出ることを決意した。
ひろとが眠ったのを確認してから、自分の短冊を書く。
『尚弥先生と個人的にお付き合いしたいです』
彼がこれをどう受け取るかわからないし、仕事上園児の親と個人的に仲良くできるわけないのもわかってるけれど、わずかな可能性に賭けてみたくなったんだ。
小泉和弘 32歳バツイチシングルファーザー。
元妻と別れて4年。年下の息子の担当保育士が気になって仕方ない。
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