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7月5日 夜に告白された
「あの、」
「お待たせしました〜。バイオレットフィズとジントニックです。」
「あ、ありがとうございます。」
まあ、後でも聞けるしね。
「尚弥先生、お疲れさま。」
「お疲れさまです。そういえば今更なんですが、ひろとくんはどうしてるんですか?」
「あー、ひろとは今日は母が見てくれてます。ご存知の通り、一人で育児と仕事してるので息抜きにと母がたまに預ってくれるんですよ。」
「なるほど。でもそんな貴重な一人の時間、俺が相手でいいんですか?」
そう聞くと、カクテルをクッと一口飲み、頬杖をついてじっと見られる。
「俺が、尚弥先生と個人的に会ってみたかったんです。」
なんかもうカッコイイ人って本当に何やってもカッコイイんだなあ。
「・・・・・・そ、そのことで、聞きたいことがありまして。」
ドキドキと僅かに速まる鼓動。
俺は持ってきてた短冊をテーブルに置いた。
「これって、どういう意味ですか?」
「・・・・・・意味なんて、そのままですよ。」
「へっ?」
小泉さんの手が俺の髪を撫で、頬を撫でる。
「無理を承知で言います。俺は尚弥先生とお付き合いがしたいです。」
「・・・・・・えっと、その・・・、」
「尚弥先生が好きってことです。」
ニコっと俺のドストライクな笑顔を向けられる。
在園児の保護者 からまさか告白されるなんて思ってもいなくて、どうしたらいいかわからない。
「先生の立場もあるだろうし、それに同性に言い寄られても困りますよね。」
そう笑う顔が悲しそうでーーー・・・・・・。
「お、俺、保育園では内緒にしてるんですが、ゲイなんです。」
思わず正直にそんなことを言っていた。
「あ、いや、いきなり、カミングアウトされてもって感じですよね!?すみません、ついっていうか、無意識というか、えと・・・・・・とにかく、すいません。」
若干パニックになりながらテーブルに額をつける勢いで謝る。
「・・・・・・ふっ。ははは、尚弥先生。本当に貴方は可愛いです。」
トントンと肩を叩かれ、顔をそっーと上げると目の前には小泉さんがいて。
「男相手でもOKなら、少しだけ期待してます。在園児の父親ってことはどうしても避けられない事実ですが。」
まるで捕えた獲物は逃さないとでも言われてるような気がして、さらに心臓の音が煩くなる。
「でもまずはお互い仕事や立場など今は考えるのを止めて、一緒に楽しく飲みましょうか。」
大人の余裕なんだろうか。
俺ばかり一人で焦ってドキドキしてかっこわりぃーーー・・・・・・。
「はい、そうですね。」
今だけは何もかも忘れてこの人と一緒に飲みたい。
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