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7月5日 名前で呼んで
小泉さんちは結婚した時に購入したという一軒家で父子家庭の割にはすごく綺麗。けれどリビングやらに子供用のおもちゃとかあって、現実に一気に引き戻される。
「せーんせっ。そんなとこに突っ立ってないで、こちらにどうぞ?」
背後から声をかけられて一瞬だけビクっとする。
案内されたのはリビングにあるソファ。
目の前のテーブルにビールと酎ハイ、軽いおつまみが用意されている。
俺は恐る恐る、小泉さんの隣に座った。
「あの、ずっと言おうと思ってたんですけど、先生って呼ぶとどうしても悪いことをしてる気がするんで、名前で呼んでもいいですか?」
「は、はい。」
「尚弥くん、尚くん、なお・・・・・・。」
何て呼ぼうか考えているのか、隣で名前を連呼される度にドキドキが増して身体が熱い。
「あ。」
何か思いついたかのような声を出すから思わず小泉さんの方を振り向くと肩をぐっと抱かれ耳元でーーー・・・・・・。
「尚弥。」
と低めな甘い声で名前を呼ばれる。
ゾクっーーー・・・・・・。
触れられたところがーーー・・・・・・。
耳元がーーー・・・・・・。
ーーー・・・・・・熱い。
「やっぱり、尚弥は可愛いよね。」
敬語もいつの間にやら外されていて、囁くように言うから変な気持ちになってくる。
「もう、小泉さん!俺で遊ぶの、やめてくださいよ・・・・・・心臓に悪いんで・・・・・・。」
「・・・・・・そんな顔されたら、もっと苛めたくなる。ねえ、あのさ今だけでいいから、尚弥も俺のこと、名前で呼んでよ。」
意地悪そうに笑ったかと思えば、照れたように名前で呼んでほしいって言う。
名刺に書かれてた名前を思い出す。
「・・・・・・か、和弘、さん。」
その瞬間ーーー・・・・・・。
一気に距離を縮められたかと思うと唇を重ねられていた。
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