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7月5日 俺も好き
「・・・・・・こんなこと、聞くべきじゃないってわかってるけど、どうして離婚したんですか?」
「俺、製薬会社で新薬の研究をしているんだ。元妻は専業主婦を望んでて、ひろとが産まれてから、妻にひろとを任せっきりで仕事に打ち込んでたら、家を省みることがなくて、ある時妻に他に好きな人ができたから、その人と一緒になりたいから別れてほしいって言われたんだよ。『あなたは仕事ばかりで私のこともひろとのこともちゃんと見てくれない。初めての育児で疲れすぎてひろとにも当たっちゃう。』とも言われた。だから、ひろとは俺が引き取ることにしたんだ。」
「・・・・・・ごめんなさい。」
「いいよ、もう4年前のことだし。今はとっくに吹っ切れてる。育児と家事に追われる彼女を助けようともしなかった俺もいけなかったし。ひろとを引き取って育児の大変さを痛感した。それに、不謹慎かもしれないけれど、そのおかげで尚弥に出会えた。」
ニコっと微笑む。
その顔はズルい。カッコよすぎて直視できなくなるから。
パッと下を向くとーーー・・・・・・。
長くて細い、けれど男らしい骨ばった指が顎をクイっと持ち上げるから、強引に上を向かせられる。
「ねえ・・・・・・尚弥、好きだよ。」
「・・・・・・。」
俺も、って言いたいけど僅かに残る理性がそれは駄目だと言う。
せめて卒園児の親だったら良かったのにーーー・・・・・・。
「尚弥、今はお互いの立場とか忘れて、正直に答えて。俺のこと、好き?」
ーーー・・・・・・好き。
だけど、頭の奥で駄目だと言う。
あの短冊を見た月曜日から少しずつ意識をして、二人で会って、会ったら好きになっていた。
駄目だ、この人は在園児の保護者だから。ひろとくんのパパだから。
頭の中ではそう思うのにーーー・・・・・・。
「・・・・・・好き。俺も和弘さんのこと好きだ。」
言ってしまったら後戻りはできなくて、色々な感情から涙が勝手に流れる。
「これからのことは二人で考えよう?それよりも今は・・・・・・。」
そこまで言うと優しすぎるくらい優しいキスをされた。
「・・・・・・尚弥は・・・・・・抱かれる側?」
熱っぽい瞳でじっと見つめられる。
「・・・・・・・・・・・・うん。」
そう答えると良かった、と呟いた和弘さんがソファへと押し倒した。
「尚弥、好きだよ。」
甘くて頭の中が溶けそうな声に答えようとしたら、唇を塞がれ、服の中へ手を突っ込まれる。
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