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7月6日 木曜日の朝帰り

「・・・・・・んー、」 寝返りを打つと僅かに感じる視線に目を開く。 「おはよう。尚弥。」 愛おしさ全開で呼ばれて頭を撫でられる。 「おはようございます、和弘さん。」 恥ずかしくなって布団で顔半分くらいを隠す。 「ホント、尚弥は可愛すぎるね。」 布団をペラっとめくり、ちゅっと軽いキス。 年齢の差だろうか?手慣れてる感じがして、何となくもやーってするけど、子供いる相手なんだし、仕方ないかとも思う。 「それじゃあ、お邪魔しました。」 「こちらこそ。またよろしくね?」 「・・・・・・あの、俺も和弘さんのこと好きてすけど、その・・・付き合うことについては少しだけ考えさせて下さい。俺、今の職場が好きなんですよ。だから・・・・・・。」 「うん、分かってる。尚弥の出す答えで俺は大丈夫だから。」 頭をポンポンと撫でられると離れたくなくなる。 「それじゃ、また後でね。尚弥先生。」 「えっ?あ、はい、また・・・・・・。」 先生、と呼ばれたことが少しだけ距離を感じてしまって淋しくなる。 「・・・・・・あー、もう。ホントに君は可愛すぎる。そんな顔されたら、帰したくなくなっちゃうだろ。尚弥。」 そう言うと和弘さんはぎゅうっと俺を抱きしめ、背中をポンポンと子供をあやすように撫でる。 「行ってらっしゃい、尚弥。」 爽やかで優しい声が淋しさを吹き飛ばす。 「・・・・・・行ってきます、和弘さん。」 今度こそ俺は自宅へと向かった。 「はぁぁぁぁ。あの顔は反則。可愛すぎだろ。」

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