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7月6日 先輩の告白

「あの人、お前の初恋の人に似てるし。お前の好きなタイプってのは見ててわかったよ。」 「そんなこと、よく覚えてますね。」 「まあ、フラれたお前を慰めたのは俺だしなあ?」 「その節はすみませんでした・・・・・・じゃなくて、小泉さんなんですけど、彼は俺がどんな答えを出しても受け入れてくれるって言ってくれてて。」 雅人先生は少し考える素振りを見せると意外なことを言い出した。 「んー、規則ではたしかに、特定の保護者と親密になるのは子供の保育に影響を与えかねないから駄目だろうけど・・・・・・俺、個人としては仕事とプライベートをきっちり分けて、子供に対しても皆と平等に接することができるなら、ありかなとは思うよ。周りに絶対にバレないこと。女性はそういうの、敏感だからね。それができるならいいんじゃない?」 俺はびっくりしすぎて、目をパチパチとさせながら雅人先生の話を聞いていた。 「付き合ったとして、ひろとくんが在園してる間は公の場に出向くのも気をつけたほうがいいよ。どこで保護者と会うかわからないし。」 「雅人先生、やけに詳しくないですか?」 「・・・・・・あー、まあ。うん、そうね・・・・・・俺が今付き合ってる人、2年前に卒園した子の母親だし・・・・・・。俺らも子供が在園中にそういう関係になって、付き合っても隠し通してたから。」 「全然知らなかった・・・・・・雅人先輩、ありがとうございます!」 「まあ、実体験で言うと、いつバレるかってヒヤヒヤもするけど、案外自分の仕事に誇り持ってれば何とかなるもんだよ。頑張れよ、尚弥先生。」 全ての笹の木設置し終えて、俺は担当クラスへと向かった。 今日はいつもより少し遅く、お昼ご飯の時間から仕事を始める。

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