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藤田の家で 1(教室を出たらの続き)

 結局、俺は藤田の家に寄る事にしてしまった。  別に、嫌なわけじゃない……。晴れて恋人同士になったんだから、一緒に居たい気持ちはある。  だけど……どこをどう間違ったのか、華奢で可愛い系の藤田に、俺が抱かれる事になってしまったから――。  すごいマッチョなわけでも、身体がデカいわけでもないけれど、どう見たって俺が抱く方だろ? それに、男に生まれてきたんだから、抱かれる側になるなんて、一ミリも考えていなかった。  そもそも、同性の藤田のこと好きになったことだって、俺自身も驚きだった。好きになっても、どうこうなるわけでもないしと思っていたのに、まさかの両想いになって、しかもセックスするような仲になるなんて――。  まぁ、どう言うわけか、藤田が上手かったみたいで、ケツが切れてるとかいう訳じゃないんだけど、普段そう言う目的で使った事が無いデリケートな所だから……なんて言うか、トイレも慎重にしようかな? って感じだったのだ。  ようするに……身体はダルイし、昨日の行為の名残りで、ケツに違和感だから、早く帰りたかったんだ。帰って身体を休めないと、部活にも支障が出てしまう――。  でもきっと、今日は藤田の家には母親も居たから、本当に何もしないだろう。俺だって今日は、藤田が何かしようとしたら、ちゃんと断るんだ。 「まだケツが痛いし、お前の母ちゃんいるから絶対ダメだ」って。  藤田に連れられ、部屋に入った。ちょっと警戒していたけれど、藤田は抱きつきもしなければ、キスしようと迫って来たりもしなかった。約束してんだから、当たり前なんだけど――。  ホッとひと安心した俺は、藤田とゲームを始めた。 昨日盛り上がりかけた所で中断していたやつだったので、俺はすぐにゲームの世界に入り込んでいた。  しばらくゲームに夢中になっていると、突然、部屋のドアが開き、誰かが中に入ってきた。 「かおるー、母さんに聞いたわよ。来てるんだって? うふふふ」  声に驚いて振り向くと、満面の笑みを浮かべた女の人が部屋の入り口に立っていた。 「あ、姉貴、お帰り。マキちゃん、ちょっと休止ね」  藤田がゲームを中断してから「そ、彼が牧野だよ」と、メチャメチャ嬉しそうな顔をしながら、「姉貴」の方を見た。 「どうも……お邪魔してます」  『来てるんだって?』っていう表現が気になったけれど、俺はとりあえず普通に挨拶した。すると藤田によく似たお姉さんが、含み笑いをしながら俺を見た。 「ふふ……いらっしゃい、牧野君。馨がいつもお世話になってます。これからも、仲良くしてやってね」  妙な笑い方が気になるんですけど――? 「えぇ、はい」 「牧野君って、ホントに男っぽくて、かっこいいねー。馨が惚れるのも分かるわ。ホント馨は面食いよね。でも、あたしの彼氏には負けるけどさ」  藤田の姉さんがそう言ったかと思うと、近づいてきて俺の頭をグリグリと撫ぜた。 なんかものすごく恥ずかしいし、頭ん中はひどく混乱していた。  2人とも普通に話してるけど、姉さんは弟が『男に惚れてる』事について、何も疑問に思わないのか?  って言うか、自分が好きな相手が男だって事を、家族と普通に話しているのか、藤田?

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