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ゴメン、嘘つきました 4(牧野)
天然なのか計算なのか、藤田は時々、わけのわからない事を言い出すのでまじで困る、ちょっと迷惑、と言うか……どう対応したら良いのか悩むんだよ――。
だいたい、「一緒に帰れない」って言ってきたから、「わかった」って答えただけなのに、なんでケンカにならなきゃいけないんだ? どう答えたら正解なんだよ?
ケンカになってしまうのは、俺がすぐにイラッとしてしまうからではないだろうか、とも思うけれど……。でも、もしかすると、藤田がわざと俺を怒らせようとしているんじゃないか、という可能性も捨てきれない――。
俺はモヤモヤした気持ちのまま、藤田がまだ残っている教室を出ることにした。なるべく藤田の声がする方を見ないように、さりげなく……。
先に帰ると言った割に、藤田は誰かと話していた。そいつと何か約束でもあるのかもしれない。へたに声をかけて、また機嫌悪くなられても面倒なので、俺は何も言わずに部室に向かった。
誰かと出かけるなんて、言ってなかったじゃないか――そう思っている自分に驚いた。
いつも一緒にいなくたって良いと思っていたはずなのに、そんな嫉妬してるみたいなこと思うなんて、なんなんだよ俺?
部室についた俺は、サッサと着替えをすませ、同学年の仲間と一緒に体育館に行った。部活は先輩もコーチもいるので緊張感もあり、余計なことを考える暇がなくなるから、ある意味ありがたい。
藤田と付き合う事になったきっかけもそうだけど、俺は終始あいつのペースに乗せられているような気がする。だから、こうやって自分のペースを取り戻せる部活の時間は、俺にとって、なくてはならない時間だと思う。
いや、決して藤田との付き合いが負担だとか不満があるというわけじゃない。長く付き合っていこうと思ったら、それぞれの時間を持つことが大切……。
そんな風に思っているんだけど――。
体育館の窓から、校庭を歩く藤田の姿が見えた。その途端、俺の心臓の鼓動が激しくなった。
まだ、片思いだった時と同じ感覚になる……付き合えることになったとは言え、入学してからずっと、密かに好きだった相手だから、仕方ないのかもな――。
「え……?」
もう一度、藤田が歩いている方に目をやると、なんと、藤田の隣には柿本がいるじゃないか。
どうして柿本と一緒に帰ってるんだよ? 俺と一緒に帰れない理由が柿本なのか?
そう思った途端、モヤモヤが復活してしまった。
そして、次の瞬間――
「……」
何故か、柿本が藤田の肩に手を回し、自分の方に引き寄せていていた。一体どういう事なんだよ?
「あのヤロー!!」
その時の俺は、練習中だって事も一瞬で忘れ、体育館の出口めがけて走り出していた。
「おい、牧野! どこ行くんだ? 練習中だぞ!」
後ろの方から、先輩が怒鳴っている声が聞こえた。でも、俺は足を止めることが出来なかった。
短気は損気……確か、前にも思ったような気がする。
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