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俺と牧野の夏休み 1

 夏休みに入って数日が過ぎた。  今日も朝から曇り空、天気予報では、昼頃には雨が降り出すと言っていた。そして、またしばらく雨の日が続くとか。昨日は夕方から晴れてきたっていうのに――。  一体この梅雨空は、いつまで続くんだ?    俺は、この「なかなか明けない梅雨」に、俺はずっとイライラしていた。何故かって? それは、夏休み前から、牧野とプールに行く約束をしていたのに、休みに入ってからも雨か曇りの日ばかりで、プールに行く予定がちっとも立たないからなのだ。  牧野は部活もあるから、会える日が限られているっていうのに――。  もしかして、このまま牧野とプールに行けずに、今年の夏が終わってしまうんじゃないだろうか?   いつもだったらポジティブに考えられるのに、俺はそんなこと考えて落ち込んでいた。牧野とプールに行くことが、俺にとってそんなに重要なことだったのか? って自分でも少し疑問に思わなくもないが……。  そうだよ、まだ夏休みになったばかりだし、いざとなったら、屋内のプールがあるじゃないか! あそこならたくさんプールの種類もあるし……。 でも、市民プールにくらべてメチャメチャ高いんだよな。それに、やっぱり夏の太陽の光をあびたいし――。  そして、7月も残すところあと数日となったある日、朝のニュースで、やっと梅雨が明けたことを伝えていた。 「やっとだぜ」と思い、テンションが上がり始めたんだけど、それから数日の間、空を見上げても曇ばかりだし、気温もちっとも高くならない……。  母さんは「いつもこのくらいの気温だと、夏も過ごしやすくて良いわよねー」なんて言ってたけれど、俺的には「夏なんだから、焼けつくような太陽と、キラキラ輝く青空を見せてくれっ!」って感じなのだ。  8月に入るとやっと青空が広がるようになった。天気予報では、晴天が続いて、暑くなるような事を言っていた。  そう言えば、牧野の部活が明日からしばらく休みになるはずだから、ちょうど良かったのかも、と思うことにして俺は早速、牧野連絡してプールに行く約束をした。  プールに行けることも嬉しいけど、牧野に会えるのがすごく嬉しくて、俺は夏休みに入ってからの事とかいろいろ喋った。でも、牧野は相変わらず口数が少なめだった。俺がずっと喋ってるから、話すタイミングがつかめないのかも……とも思うのだ。  俺と牧野って、かなり温度差があるみたいだな……と時々思ったりもする。とは言え、牧野から愛されてるのはわかっているから良いんだけど。  何で愛されてるって思うか? そりゃ、牧野を見てればわかるって。俺と2人だけの時の牧野って、本当に可愛いんだから。 耳元にキスしただけで、すっかり力が抜けちゃって、潤んだ目を向けて、俺に抱きついてきたりして。普段とのギャップがもう、愛しくて愛しくて……。  あぁ、早くプールに行きたい。波のとか、流れるやつで、牧野に抱きつきながら遊ぶんだ! 堂々と外でイチャイチャ出来る(ふざけあってるくらいにしか思われないだろう)から、俺は、ものすごく楽しみにしているんだ。  早くプールに行く日になれ!

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