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第4話:『何このカオス』
「待て待て待てぇい!」
羽田が椅子を蹴りあげる様にして立ち上があった。
パイプ椅子がガタリを大きな音を立てる。
その不快な音で、はじめて会長の春日が反応を見せた。
頬杖をついたまま指先でプリントを摘まみあげ、目線を上げる。
「俺の一之瀬に何する気だこら」
相川に指をさし怒鳴りつける。
珍しく怒っている。
五十嵐は鼻息が荒くなった。
今のセリフなに?もう一度言って。
俺の一之瀬?
何それ素敵。
やはり、顔色一つ変えない一之瀬は、気怠そうな表情で羽田を見上げる。
「…羽田、お前は俺をそんな目で見てたのか。」
「え?先輩らそういう仲なんですか。」
「??そういう仲ってなんだ?とにかく俺と一之瀬は友達だからな。一之瀬とエッチしたかったら俺の目の前でしてくれ。俺の知らない所で一之瀬を好きにするなんて許せねぇ!一之瀬は俺のだ!一之瀬に何かしたいなら全部俺の許可を取らなくちゃダメなんだからな。ちなみに許可しねぇ。」
うわっ、面倒臭ぇ奴ですね。
周囲の人間は引き気味だ。
五十嵐の隣に着席している副会長の兄崎は額に手をやり天を仰いでいる。
――ダメだこいつ、と思っているのだろう。
「え?羽田先輩も混じりますか?」
「俺と一之瀬は友達だぞ?友達同士でエッチなんかするか」
「じゃぁ、指咥えてみていてくださいね。目の前で一之瀬先輩を雌にしてやりますから。先輩、お友達の前でエロいことするのってドキドキしますね」
まだ、何もしていないでしょうが!
一之瀬先輩にエロい事してから言いなさい。
というか、其処に是非僕も呼んでください。
土下座しろと言えばしますから!
五十嵐は羨望の眼差しを向ける。
良いなぁ!羽田先輩良いなぁ。
いや、でも、監査委員会で朝比奈先輩もお仕置きエッチするなら、あぁ、目が足りない。
どうしよう、盗聴器でも買おうか。五十嵐は真剣に悩んだ。
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