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第13話:『句読点なしで語るな』→『肺活量には自信あり』

「誰よそいつ。しらんがな」 「なんですとおお!膜狩先生はですね膜狩先生はですねえええ齢17にし二次元美少女にこれでもかという程の鬼畜プレイを行うハードな性愛を取り扱う「尻狩り一族の野望」というアナルプレイ中心のハードSM小説でプロデビューを果たし次々と目を覆いたくなるような凄惨な凌辱物を出版してですね残虐かつ耽美で迸るエロスな世界を書き上げたなら右に出るものはなしと言われるほどの」「なんか五十嵐が語りだしたあああ」「ただの凌辱ものならここまで人気は出ませんが彼は性描写以上に精神を揺さぶるようなストーリーを織り込ませているんですよ漫画化された「純麗の白百合陵虐シリーズ」ではこんな愛くるしい子によくこんな真似できるなと外道と罵られれば罵られるほど余計にキャラクターを地獄に落としそのキャラクターのファン達すらも容赦なく絶望へと叩き落とすあの鬼畜っぷりは実に惚れ惚れします」「句読点なしで話すな!」「凌辱物だけにとどまらず純愛までも書き上げると言うまさに天才。」 「息継ぎなしで良くしゃべれるな。」 「肺活量には自信があります」 「…おい、サラはいつ来るんだ!?この訳わからん状態の空気を変えるのはあいつしかいない」「奴は愛しの錦お兄様と一緒に実家に帰ってるらしいぞ」「ねぇ、オズ。二次元って基底ベクトルの数の二次元空間のこと?彼が何言ってるのか分からないよ」「つまりあれだ。フレディ。アニメとか漫画のことだろ」「アニメは三次元になるのかな。いや二次元?」「何でも良いよ!!」「二次元萌えええええ」 三人は半ばパニックを起こしていた。 珍獣を目の前にした時、彼らはどうして良いかわからないからだ。 一通りひそひそと話をし、こほんと咳ばらいをした兄崎がわざとらしい笑みを浮かべた。 「えーっと、可愛い女の子とか、セクシーな人妻とか余り興味ない?あ、三次元限定でね。ほらほら、ここ男子高等科だけど一応さ共学の高等科中等科あるだろ?あ、このさい彼氏でも良いや」 「三次元はフィギュア以外興味有りません。あと三次元でときめくときは、必ず二次元変換を前提にした時だけです。三次元なんてね、萌え萌え妄想の肥やしです。ひひ。今美化と風紀がどっちが上か考えてる所なんですけど、皆さんどう思いますか」 「…えーっとごめん、二次元ってさっきから言ってるけどさ。要するにアニメとか漫画とかでOK?」 兄崎は顔をひきつらせながらも笑顔を浮かべる。 「その通りです。僕はすべて二次元に捧げてますので、童貞処女を貫きます。心の中では既に経験者なんですけどね。ぐふふふ。経験数を打ち明けた時、朝比奈君は淫らで素敵と笑顔で拍手してくださいました。」 「サラ…」 「…別の意味で穢れすぎだろ。腐りすぎだろ」 「半分以上何言ってるのか分からなかった。」 「サラめ。五十嵐の話が理解できるとは。やはり日本人というやつは変態だね。」 すでに理解することを放棄したフレデリックと春日だが、兄崎は違った。なぜなら彼は、春日に恋をしているからだ。 恋愛を楽しみ、誰かと肌を重ねる事は人生において最も素晴らしいことだと信じて疑わなかった。

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