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第4話
「信じてもらえたかな」
「は、はぁ……」
ボクが書いたものに間違いなかった。
けど、ボクは今直面している事が夢としか思えなかった。
たくさんいるファンの中のひとり、それもイベントや公演などに全く参加出来ていない、しかも男のボクに、一流の舞台俳優さんである佐久馬さんが返事を下さっただけじゃなく折り返しの連絡まで下さるなんて。
「君の手紙、いつも俺の事を気にかけてくれて、応援してくれて、ありがたいって思って。そんな君が手紙にこっちに来られるって書いてあったのを見たから会えないかなって思ってしまってね……」
そう話す佐久馬さんはいつものかっこいいイメージではなく、緊張しているような、少しオドオドしているような印象を受けた。
「毎月熱心にファンレターをくれる同性のファンって君が初めてで、いつもくれるあたたかい手紙が嬉しくて、励みになってるよ」
そんな。
そんなふうに思ってもらえるなんて。
嬉し過ぎて泣きそうだ。
「会えるかな、イベントの後で」
電話の向こうの声はボクに甘くねだってきているような感じがした。
そんな声を聞いているボクのスマホを持つ手は冷たくて、さっきからずっと震えていた。
ボクはその震えた左手に右手を添えると早口で答えてしまってた。
「だ、大丈夫です、帰るの次の日なので」
って。
「そうなんだ、良かった。じゃあイベントが終わったら連絡するから」
「は、はい……」
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