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第8話
2時間ほどそこで過ごしたけど、ボクはずっと緊張してしまって、聞かれた事に応えるので精一杯だった。
そして佐久馬さんとほぼ同じペースでハイボールを飲んでしまって、酔っ払っているという自覚があった。
「大丈夫?」
「あ、あはは、大丈夫、です」
帰りはタクシーでホテルに戻ろう。
そう思って佐久馬さんにお礼を言って帰ろうとしていた時だった。
「一緒に行くよ、君のホテルまで」
「へ?」
「今夜はずっと、君と一緒にいたい」
えぇぇぇっ!?
もう十分幸せなのに、ホテルでも一緒に過ごせるなんて幸せ過ぎる!!
いいのかな、と思いながらも、ボクは佐久馬さんと一緒にタクシーに乗ってホテルに戻って来てしまっていた。
フロントに鍵を受け取りに行こうとすると佐久馬さんが一緒に来てくれて、受付の人にボクの部屋にあるベッドの数を確認したあと、追加で泊まらせて欲しいと話して真っ黒いカードでお金を払っていた。
泊まる。
朝まで飲もう、って事なのかな。
お酒買ってないけど、どうするつもりなんだろう。
佐久馬さんの口から出たその言葉に、ボクは思わず佐久間さんの方を見てしまったんだけど、そんなボクに佐久馬さんは目が合うとにっこりと笑いかけてくれた。
かっこいい……!!
じゃなくて、ホントにいいのかな?
変なテンションになっているボクを置いて時間は流れていく。
一緒にエレベーターに乗って、一緒に部屋に入って。
たまたまホテルの都合でベッドがふたつ用意されている部屋だったから今こうしてふたりでいられるんだと思うけど、とても現実に起きている事だと思えなかった。
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