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第9話

「風呂、先に使わせてもらっていい?」 「あ、はい、どうぞ……」 佐久馬さんはお家に帰ったらすぐお風呂に入りたいっていうのを知ってたから、ボクはそう答える。 とりあえず突っ立ってたら変な子だと思われるかもと思い、近くにあったベッドに腰掛けると、お風呂場にお湯を溜めに行ったと思われる佐久馬さんが戻ってきてボクの隣に座ってきた。 肩や脚が触れるくらいの距離で、ボクはドキッとしてしまう。 「そんなに緊張しなくていいよ……って言われても無理か」 そう言って柔らかな笑顔を見せてくれると、佐久馬さんはボクを抱きしめてくれた。 わぁぁぁぁ!!! って、何で!? ボク、男だけど!!! でも、嫌じゃない。 見た目も性格もかっこよくて、同じ男として憧れてる佐久馬さんだから。 でも、めちゃくちゃドキドキしてるの聞かれてるかもしれないと思うと恥ずかしいな。 「湊士くん……」 「ひ……っ……!!」 突然名前を呼ばれ、ギュッとされて頭を撫でられたボクは変な声を出してしまう。 「可愛いね、君。俺、女の子も大好きだけど、君みたいな可愛い男の子も大好きなんだよね……」 「は……うぅ……っ……」 瞬間。 何が起きたのか分からなかった。 その素敵なお顔が、瞳が、ボクのすぐ傍まで来て……。 「…………」 音を立ててキスされたかと思ったら、鼻をお酒の匂いが掠めたあとで口の中に熱いものが入ってきた。 こ、これって……舌!? 「んぅ……うぅ……っ……!!」 時折聞こえる佐久馬さんのセクシーな声というか吐息と、触れ合っている舌で身体が熱く、溶けてしまってるような気がしてしまう。 「は……ぁ……っ……」 唇が離れても、身体は離れる事なく、ボクも佐久馬さんの逞しい腕を掴んでしまっていた。

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