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第8話
ピジョンは目がいい。スワローほどではないが遠くまで見渡せる。
「きた」
落とし穴の存在に気付いたスワローが兄の居場所を目測で弾きだし、砂丘を乗り越えてやってくる。
コンテナの陰に隠れてスリングショットを握り直す。
思えばコイツとも長い付き合いだ。
ピジョンの手垢と手汗がたっぷり刷り込まれた武器、強い愛着と信頼を託す手作りアイテム。
マイナーチェンジを繰り返し改良を施したスリングショットの威力は絶大で、以前と比べて飛距離は格段に伸びた。ピジョンだってただ手をこまねいて無為に過ごしてたんじゃない、弟と共に賞金稼ぎになるという目標を掲げてから地味に地道な努力を重ねてきたのだ。
継続は力なりをモットーに、一日もサボらず投擲の腕を磨き抜いた。今なら空飛ぶ鳥を一発で仕留める自信もある。
「可哀想だからやらないけど」
ふと地面に動く影が投じられる。
釣られて頭上を仰げば、ツバメが一羽滑るように飛んでいる。
孤高に、自由に、奔放に。
シャープな軌跡を描いて風を切り裂き、澄んだ青空を軽快に旋回するツバメを惚れ惚れと目で追って嘆じる。
鳥はいいな、気楽で。
荒れた丘の上に立ち尽くし、ツバメを掴もうと無意識に手をのばすも、空には届かず影さえ掴めない。
シュッと流れる黒い翼、コントラストが映える白い下腹、赤い喉。
颯爽と空をいくツバメの雄姿に日に日に逞しくなっていく弟の面影がだぶる。
スワローはいつか俺のもとを去ってしまうんじゃないか。
俺と別れてどこか遠くへいってしまうんじゃないか。
そしてもう帰ってこない、もう二度とアイツと会えなくなる。
「……あれ?」
ずきりと胸が疼く。
おかしい、どうして胸が痛むんだ。アイツの束縛から解放されてせいせいするはずなのに……行ってしまうとか会えないとか、これじゃまるでアイツと離れ離れになるのをいやがってるみたいじゃないか。
スリングショットで塞がった右手の代わりに、空っぽの左手をツバメの影に翳す。
もう殴られずにすむ、犯されないですむ、願ったり叶ったりじゃないか。俺はアイツの重荷でしかない、だったら早々に手を切って独り立ちを祝ってやるべきだ、それが兄の務めだ。
アイツにはもう、俺なんて必要ないんだから。
アイツはきっと独力で立派に賞金稼ぎになるという夢を叶える。
その夢にとって、なにかと足を引っ張る俺の存在は邪魔でしかない。
一体俺がいる意味ってなんだ?
アイツを躓かせる石ころか?
空にさしのべた手を力なく戻し、胸の前で握り込む。
「……なりたきゃ勝手になればいい。俺の意志なんて無視すりゃいいじゃないか」
結局アイツは自分の好きにする、俺の意志なんかおかまいなしに好き勝手にふるまうくせに賞金稼ぎになる夢だけは例外に位置付ける心情がわからない。
ピジョンが気に入らないのなら怒ればいい。
煮え切らない兄にじれてキレてどこへなりとも飛び出せばいい。
ピジョンはもう追わない、さがさない。スワローがどこへ行こうが知るもんか、アイツはアイツの道を行けばいい、家族と縁を切って勝手にやっていけばいい。元から自分に賞金稼ぎなど向いてないのだ。争いごとは苦手だ。血を見るのも嫌いだ。酷くするのもされるのも、痛くするのもされるのもご遠慮願いたい。無理矢理巻き込まれ逆らうの怖さに仕方なく付き合ってやってただけで、もとから乗り気じゃなかったのだ。
なのになんで、自分に言い訳してる気がするんだ?
こんなに惨めな負け犬の気持ちになるんだ?
「…………」
アイツが強引だから。
俺を引っ張って振り回すから、勘違いして分不相応な夢を見た。
こみ上げる悔しさとやるせない葛藤に自然と唇を噛む。
ピジョンの頭の上を嘲笑うようにくるくるとツバメが回る。
俺だってもしかして賞金稼ぎになれるんじゃないか、死ぬほど頑張ればもしかしてそうなれるんじゃないかっておめでたい心得違いをした。
でも間違いだった。どうあがいても無理だったんだ。アイツが口笛まじりに遊び半分でこなすトレーニングをピジョンは瀕死で何とかクリアし、その後はへばりきってろくに起き上がれもしない毎日だ。
自由自在に飛び回るツバメへ憧憬の念が募るのに比例し、弟と引き較べた劣等感が積もりゆく。
ベッドに倒れ込めば即深い眠りに落ちて、夢精の醜態をさらしたことにも朝まで気付けない。
特訓の成果?
ああ、見せ付けてやりたいさ。ぺしゃんこになったプライドに息を吹き込んで膨らませたいさ。
しかし現実問題、ピジョンとスワローには明確な実力差がある。本当は今も怖い、足が震えっぱなしの恐怖に耐えている。スワローはナイフを持っている。刺されたら死ぬ。実際に人が死ぬ凶器を向けられて、平常心を盤石に保てる人間がいるだろうか?ピジョンは無理だ、虚勢で恐怖心を欺き通すには彼はあまりに誠実すぎる。
でも、それでも。
「やるしかない」
俺は兄さんだから、目にもの見せてやるしかない。
気を引き締めてコートのポケットに手を入れ予め拾っておいた小石をつがえる、ゴムを限界ぎりぎりまで引っ張り狙いをつける、斜面をのぼりきったスワローのど真ん中へ続けざま発射する。
「そこ!」
「ハズレだノーコン野郎!」
スワローの方が一枚上手だ。抜群の反射神経を発揮し、立て続けに撃ち込まれた小石を紙一重で躱す。
恐怖心が麻痺してるのか?いや、元から欠落してるのか。いくら銃弾じゃないといってもスリングショットで撃たれた小石は十分な破壊力を秘めている、命中すれば大怪我だ。
なのにスワローは一向に臆さず前傾姿勢をとって駆けてくる、ピジョンは素早く小石を放って牽制する。回避、空振り、回避、回避、空振り。
スワローの肩や肘を掠めた小石はあさっての方角へ消えていく。
「ッ、なんで当たらないんだ……!?」
目にするものが信じられない、まさか一発も当たらないとは。ピジョンの腕が劣ってるわけではないと信じたい、スワローの勘と動きが良すぎるのだ。
「動く的を撃ってこなかったツケが回ったな!」
スワローが勝ち誇って高笑い、ピジョンはぐっと押し黙る。生き物を狙うのを避けて、空き瓶や小石など動かない的を中心に練習を積んだのが仇になった。ピジョンの腕ではすばしっこく動き回るスワローを捉えきれない。
こんな事ならもっと遠くにいればよかった、落とし穴に嵌まったら助けにいこうなどと仏心をだすんじゃなかった。
後悔先に立たず、獲物を補足したスワローが地面を蹴って兄にとびかかる。ピジョンは寸手でこれを避ける。
「ひっ!?」
短い悲鳴が喉に詰まる。体重を乗せたナイフの刃が前髪を数本持っていく。ぱらつく毛髪のむこうにぎらつく笑みを浮かべスワローが憎たらしく挑発する。
「遅ェ。ハードラックとダンスってんのか?」
殺しにきたスワローは強い。しかし手がないわけじゃない。コンテナを半周して回り込めば、スワローの死角になるそこにドラム缶が放置されていた。
ドラム缶には矩形の板が斜めに立てかけられており、片方の先端がコンテナのへりに接している。ドラム缶を支点にした梃子やシーソーを思い浮かべればわかりやすいだろうか。
「よし」
弟と遊んだピンボールから得た着想だ。
ご丁寧にも板の表面には釘が打ち込まれている。その釘を足掛かりにしてひょいひょいと上っていく。追い付いたスワローがぎょっと目を剥き、板の下方に片足を乗せると同時、コンテナの頂上に到着したピジョンはあっさりと板を外す。
「どわっ!?」
板ごと蹴倒されスワローが見事にすっ転ぶ。
地面に大股開きでひっくりかえったスワローが悔しげに吠える。
「逃げ道仕込んでたのかよ卑怯者、みみっちい小細工使いやがって!」
「保険をかけるのも作戦のうちさ」
コンテナの上に立ち、ポケットをあさって小石を取り出す。今しもコンテナの表面に足をかけ、よじのぼろうと足掻くスワローに小石の散弾を浴びせる。
スワローを見下ろす気分は最高だ、背丈を越されてから滅多になかった体験に自然とハイになる。
コンテナに手をかけ足をかけ滑り落ちる繰り返しのスワローが壮絶な形相で歯噛みする、ドラム缶に板を掛け直して一気に駆け上がろうにもがら空きの頭上に小石をぶち撒かれちゃたまらない、もちろんピジョンは作業時間などとらせない。無様に転がった弟の姿が愉快この上なく、小石を連投しながらはしゃいだ嬌声を上げる。
「あははっピンボールごっこみたいで超楽しい、俺がてっぺんお前がどん底、ヒットしたぶんピカピカ光って音が鳴るんだ!」
「ハイになりすぎてキャラ変わってんぞ!」
「だってお前を見下ろすチャンスもやり返せるラッキーもそうそうないじゃないか!」
日頃の意趣返しとばかり撃って撃って撃ちまくる、息継ぐ間もなく降り注ぐ小石の洗礼に地上のスワローは逃げまくる。
コンテナの上は広く見通しがよい、遮るものはなにもない。この条件ではピジョンが圧倒的に有利だ。無防備な頭部を一方的に狙い撃ちできるのに加え、高所からは敵の動きがバレバレだ。
自由に動き回って優位を誇示、地上にへばり付いたスワローに連続で小石を投擲する。
ポケットがどんどん軽くなっていく。まずい、残弾が尽きる。
物事に永遠などない。
スワローはナイフの刃を翻し小石を弾き、ある時は首を軽く逸らし、最小限の動きで効率的に急所を外す。圧倒的優位を占めた筈の兄の攻撃を余裕でいなし、焦ってポケットを探るその様子を目視後、過激な行動に出る。
「うわあっ!?」
がァん、コンテナが揺れる。スワローがおもいきり蹴りをくれたのだ。
ポケットに僅か残った小石が零れ、ピジョンがもんどりうって倒れこむ。慌てて小石を拾い集めるピジョン、その隙にスワローが板を掛け直す。
まずい。
板を外そうと駆け寄る、スワローの顔上半分が覗いて続いて現れた口元が凶悪な弧を描く―
「めーっけ」
「!っ、」
のんびりユルい口調と、殺気走った眼光の落差に戦慄が走る。
咄嗟にスワローの手を薙ぎ払い落とそうとする、靴裏でくりかえし顔面を踏んで蹴落としを企てる、キツく目を瞑り心を鬼にし弟の頭と顔をやたらめったら蹴飛ばす、スワローの足が宙で暴れて板を倒す、濛々と砂塵が舞って視界が煙る、早く早くお願いだすっぱり諦めて落ちてくれ|地獄へ落ちろ《ゴートゥーヘル》!!
「なんでっ、はなさないんだっ、よっ!もうおちろよっ、頼むからっ、がんばったっていいことないぞっ!」
ピジョンの狂おしい願いとは裏腹にスワローはしぶとくコンテナにしがみ付いて離れない、地獄の亡者のような凄まじい執念だ。
肉弾戦に縺れこめば勝ち目がない、近接戦闘は分が悪い。
倒すなら今だ、今しかない。スワローがコンテナにぶらさがったこの状態ならまだピジョンが優勢だ、さあスワローの手を剥がして地上に送り返すんだ……
蹴っているのに蹴られているような顔で喚くピジョンに、スワローは低く唸る。
「おっこちんなら道連れだ」
地団駄踏んで暴れながら非情に徹しきれずボロボロとボロが出て、既にピジョンは半泣きだ。
殴られるのは慣れている。殴り返さない分別もある。だがだれかを殴ることに関しては抵抗を感じる、血を分けた弟を殴る蹴るすれば良心が軋みを上げる。弟の顔をまともに見れず、躊躇いが蹴りのキレを鈍くする。
「ぅぶっ!!」
スニーカーの靴底がめりこみスワローが鼻血を噴く。
靴紐に点々と血がとぶ。
一緒に落ちてやってもいいかとふと思う。ほんの一瞬の気の迷い、天使の助けか悪魔の誘惑か……ピジョンが曝した隙をスワローは逃がさない。
俗にいう魔が差した状態に陥った兄の足首を掴んで引きずり倒しコンテナに這い上がるや、腕を振り抜いてナイフを繰り出す。
脇腹を掠めたナイフをスレスレで受け流し縺れる足で逃げるピジョン追うスワロー、勇を鼓して隣のコンテナに飛び移る、モッズコートが風を孕んで翼のように広がる、兄に続き鮮やかに飛来したスワローが逆光に黒く塗り潰されて着地、もう一つ向こうへ飛び移ろうとする兄の足を低く屈んだ姿勢から半円を描いて刈り取る。
「うわっ!?」
「ボケッとすんな、足元がお留守だぜ。ここが戦場だって忘れたのか?」
真上から覗きこまれ、スワローの鼻血がピジョンの顔に滴る。
鼻の頭で赤い雫がはね、首筋を伝って鎖骨の畝を濡らす。
「兄貴の場合は無意識にヤリすぎんじゃねえ、その反対。無意識に手加減するんだ」
「え……」
「ツラ見りゃわかる。全力出してねーだろお前、本気で落としたきゃもっとエグことしろ」
「ど、どんなの」
「ポケットん中に残ってる石ころを俺の口に放り込んで蹴るとか、喉を突いて呼吸を止めるとか。目潰しもいい。相手が踏ん張るなら鼻摘まんでこじ開けろ」
「~そんなことできるわけないだろ……!」
想像しただけでおぞましい。
ピジョンの弱気をスワローは鼻で一蹴する。
「ああ、口の中がめちゃくちゃに切れて一生おしゃべりもおしゃぶりもできなくなるだろーさ。それがどうした、お前にゃ関係ねえ、てめぇは痛くも痒くもねえ。うるせー弟が|サイレンス《だんまり》んなりゃめでてーだろ」
「俺はお前に勝ちたいだけで虐めたいんじゃない、酷いことなんてこれっぽっちもしたくない!!」
「頭や顔なんていくら蹴ったってダメさ、こちとら慣れてるんだ、衝撃の逃がし方は実戦でマスター済み。てめぇにゃ目を瞑って人を蹴る癖がある。そんなにイヤか、これから殺す相手の目を見るのは。びくびくよそ見しておどおど盗み見て、土壇場で焦点ブラしちゃピンポイントの一撃なんざ入らねーよ」
スワローはピジョンをよく観察している。兄の戦い方や癖を完璧に理解している。
優しすぎるのがピジョンの敗因だ。ピジョンは敵に攻撃を加える時に無意識に目を瞑る、寸前に目を逸らしてしまうせいで狙いが定まらずいたずらに苦しみを長引かせる。
敵に同情と共感は禁物だ。ピジョンはその原則を遵守できない。
ピジョンに蹴りまくられ顔を鼻血まみれにしながら、頭蓋の裏にガンガン響く激痛に根性で抗いながら。
靴底がこめかみに当たった瞬間、兄が僅かに顔を背けるのをスワローはしっかり補足した。
「てめぇのそれは残酷だ。独りよがりの偽善だよ、だれにも歓迎されない優しさだ」
癖さえ知り抜いてれば裏をかくのはたやすい、蹴りがくるタイミングで顔を上下左右いずれかにほんの少しずらせばいい。
スワローの手がタグの鎖にかかり、ピジョンの顔が悲痛に歪む。悔しさと哀しさが綯い交ぜになった表情。
「わかったふうな口きくな。俺の気持ちなんかちっとも知らないで……」
「てめぇこそ。俺がいま何考えてるかわかるのかよ」
「殺りたい」
「はッ、そのとーり!テメェを犯りたくて犯りたくて今にもはちきれちまいそうだ、どうしてくれるんだよこのキモチ、ええっ?」
「じゃあ殺れよ」
「は?」
「殺りたいんだろ、好きにしろよ。さっさとその固くて太いのを俺に刺せよ、めちゃくちゃに突っ込んで抉って掻き回せよ。俺の体も心もぐちゃぐちゃにしろよ」
「……物分かりがいいじゃねーか。さんざんごねてやがったくせに……いますぐ挿してほしいの?」
ピジョンは妙にさばさばと開き直る。
自暴自棄ともとれる態度で仰向け、うっすらと笑みさえ浮かべる余裕を見せて宣する。
「どうせ逝くなら爽やかな風吹く青い空の下の方が気分いいじゃないか。ほら、ツバメも見てる」
「爽やかっちゃ爽やかだけど砂まみれになるぞ、後始末が大変だ」
「ほったらかして行くんじゃないの?」
「ばか、昨日だってちゃんとしてやったじゃねえか」
「……昨日ってまさかお前、昨日も俺のこと狙ってたの?そんなに嫌なのか、寝顔もガマンならない位に」
「テメェの平和ボケした寝顔見てっとムラムラすんだよ、すぐ隣で生あったかい寝息とむにゃむにゃした寝言聞かされる身になれ、もう犯ることっきゃ考えられなくて気が狂っちまいそうだ、寝てる時に何度ぶっ挿しちまおうと思ったことか」
「け、けだものめ……隙あらば殺ることしか考えてないとか完全に異常者の思考回路だ」
「犯りてぇ盛りなんだからしょうがねーだろ」
「思春期の闇が深すぎる。本当に俺の弟?」
「まぎれもなくテメェの弟だ。こんなにした責任とれよ」
「俺がちゃんとやれなかったから道を間違ったのか……」
「ヤるもクソもねー、ヤられるほうはマグロみてーに転がってりゃ済むこった」
「寝たまま逝くなんて冗談じゃない、そんな逝き方哀しすぎる」
「気持ちいい夢見てイケたら快感も二倍になるんじゃねえか」
「夢と現実で断末魔の苦しみが二倍になるかもしれないじゃないか、自分が逝ったのに気付かず眠り続けるなんて考えうるかぎり最悪だ、幽霊になってベッドに憑いちゃったらどうするんだ、ポルターガイストでガタゴト言わせて地味に|安眠妨害《復讐》するぞ」
「毎晩ギシアンて激しすぎるぞ兄貴、ベッドは壊さない程度にしとこうぜ」
「俺は毎晩疑心暗鬼だよ」
「だーかーら、それは謝るっての。元はと言えばナニされても起きねえテメェが悪い、こっちもイくまでねばって引き際が……」
「ん?」
「んん?」
話が噛み合わない。互いに理解不能といった表情で首を傾げて……
ピジョンの思考回路に電流が走る。久しぶりに体験した夢精、朝起きたら汚れていた下着、その事を一部始終知ったうえで脅しネタにする弟のニヤニヤ笑い……
「犯人はお前か!!」
スワローは自爆した。
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