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第19話

「ひッ……!」 あとじさった拍子に背中が岩肌に激突、震動が伝った天井から砂塵が降り注ぐ。 「こっち、くるな……」 コヨーテは血走った目でピジョンを睨み、ジリジリと距離を詰めてくる。毛細血管がはちきれんばかりに膨張した眼球がおそろしい。 よってたかって辱められた精神的ショックは回復してない。丸まったパンツを片膝に引っ掛けたまま、地面を蹴って少しでも退避する。 このままコヨーテに犯されるのか?いやだ。獣姦なんて冗談じゃない、尻が裂ける、たくさん血が出る、括約筋もズタズタになる。もう二度と普通に用を足せなくなるかもしれない。なんで俺がこんな目に?あんまりじゃないか、ただスワローを迎えに来ただけなのに…… 「どうするのお兄さん、この子たちは待てができないみたいよ?おいしそうなメス犬が目の前にいるのに、お預けは酷な話よね」 ビーはトロッコに腰掛け両足を遊ばせている。特等席で悪趣味なショーを見物する予定だ。ピジョンにコヨーテをけしかけ、次に彼がどう出るか観察している。琥珀の目に瞬く子ども特有の残酷な好奇心。背筋に氷柱を突っこまれたような戦慄。 完全に追い詰められた。逃げ場はない。 背後は行き止まりの壁、正面と左右にはコヨーテがにじり寄る。 乾いて縮んだ舌が喉に貼り付く。呼吸と鼓動がうるさい。もういやだあんなのは、コヨーテに組み敷かれて無理矢理イかされて…… 「見てないで止めてよ……動物の気持ちがわかるんならコイツらにやめるよう言ってよ!こ、こんな事してなにが楽しいんだ、正気の沙汰じゃない、間違ってるよ絶対に。お前らもっ……!聞いたろ、あの子に操られてるって!オモチャにされてるんだ!ホントはこんな事したくないんだろ、ヒトを襲うなんて……自分の意志じゃないんだろ!?」 歯の根がかち合って音が響く。ピジョンは腕を交差させ、猫背に丸まって顔を守る。 少女がお上品に眉をひそめる。 「いやね。この子たちが無理矢理やらされてるっていうの?」 「そうだよ、そのとおりだ!」 「違うわよ、この子たちはビーのお願いはなんでも聞いてくれるの。お友達だものね」 「友達はドレイじゃない、ホントに友達だったらこんな酷いことするもんか!無理矢理体をのっとって、ひ、ヒトを襲わせて……ッ。コイツらにだって心はあるんだ、怪我したら血が出て痛みを感じるんだ」 ビーの「お友達」発言が、恐怖心を上回る反感を連れてくる。 眦を決してビーを睨み、震え声で訴える。 ピジョンは動物が好きだ。オオカミやコヨーテは怖いし、できれば近付きたくないけれど、ビーのしている行為は倫理に反して許し難い。 動物だってぶたれたら痛い、虐められたら哀しい、そこは人間と全く同じだ。 ピジョンは頬の泥汚れを擦り、さかんに瞬く。 本音を言えば、ちびりそうに怖い。逃げ出したくても足腰が立たない。 壁を背にしてへたりこみ、過呼吸に陥りそうに喘ぎ、それでも譲れない一念を貫いて、叫ぶ。 「君は間違ってる」 こんなの絶対おかしい。 「ホントに友達だと思ってるなら、こんな事させるなよ……!」 「友達」は免罪符じゃない。ビーがしていることは虐待と一緒だ。 一方で打算もあった。ビーの情に訴えかけて、コヨーテを退かせる魂胆があった。 冷静さを呼び戻そうと目を瞑り、モッズコートの胸をギュッと握る。 「俺は賞金稼ぎじゃない。弟をさがしてたまたま迷い込んだだけだ。君を追ってきたんじゃないし、捕まえようなんて思ってない。一緒にここを出よう」 「え?」 ビーが薄気味悪そうな顔をする。 ピジョンはくじけずへこたれず、彼女にも良心の一片は残っているはずと信じて続ける。 「コイツらだって真っ暗闇に閉じ込められてちゃ可哀想だ。ここは危ないし……事故が起きたら生き埋めになる」 「おばかさんね、お外に出たら捕まっちゃうでしょ?」 「お、俺が説得する。みんなに説明するから……」 「何を?どうやって?」 「君が……前の街で大変なことをして逃げてきたのはもう動かしようがないけど、まだここでは何もしてない。ジッと坑道に隠れてただけだ。そう話してわかってもらえば、ちょっとは罪が軽くなるかも……馬車の積み荷を強奪したのはどうしようもないけど……仕方ないよ食べるためさ、生きる為に仕方なくやったんだ、俺が生き証人だ」 手ごたえのない反応にじれる。ビーの疑念はどんどん強まっていく。 萎えそうな気力を叱咤し、泣きたくなりそうな自身を奮い立て、卑屈な半笑いで甘ったるい観測を並べ立てる。 「俺はまだ何もされてない。君は俺に指一本触れてない。無傷で帰って弁護すれば、きっとわかってもらえる……!」 何もされてないはずがない!コヨーテに犯されかけたんだぞ!今も犯されようとしてるんだぞ!心の奥底で叫ぶ、理性が焼き切れそうになる、けれども死ぬ気で我慢する。 今ビーの機嫌を損ねるのだけは避けたい、蜂の巣では女王蜂が絶対だ、断頭台に送られるか無罪放免となるか全て彼女の一存で決まる。コヨーテがピジョンの頬をなめる。熱い舌がねっとりと首筋に這い、固い毛が鼻をくすぐって、生きた心地がしない。 交渉の余地を引き出そうと死に物狂いのピジョンの努力が実る。 「やさしいのねお兄さん。ビーを庇ってくれるのね?」 随分と久しぶりに聞くビーの声は、先程までとどこか違う硬質さを宿していた。ピジョンはコクコクと頷く。不興を買ったらおしまいだ、コヨーテの群れに輪姦されておしまいだ。阿ろ、媚びろ、諂え、プライドなんて捨てちまえ!絶対生きて帰るんだ、母さんとスワローのところへ…… 「ウ゛ウ゛ッ」 コヨーテが眼前に迫る。 耳まで裂けた口腔に並ぶ凶悪な牙、滝のような涎が粘着の糸引き下着を濡らす。 暗闇で獰悪に光る金と灰と黒の眼光、強烈な体臭が吹き付けて吐き気を催す。 もう目を開けていられない。ピジョンは両腕で顔を覆う。カツン、カツン。軽い靴音が近付いてくる。トロッコを下りたビーがこちらにやってくるのを過敏になった聴覚がとらえる。 「お兄さんがそんなに言うのなら……この子たちはさがらせましょ。かわりにビーと遊んでちょうだいな」 バトンタッチよ、と悪戯っぽく囁く。ピジョンを包囲する威圧が遠のき、ビーに傅く。 途方もない安堵の念に襲われ脱力。だが終わりではない。 ピジョンは女王蜂の悪意を侮っていた。 彼女が「邪悪なる女王蜂」と呼ばれる、真の理由を知らなかった。 「あ、ありがとう……」 ポロリとお礼がもれる。 説得が通じたと早合点し、場違いな感謝さえ述べるピジョンの前で、コトンと首を傾げる。 「それじゃあお兄さん、脱いでね」 「え……」 「お洋服を脱いでちょうだいね」 ビーが笑顔のまま、淡々と繰り返す。 やんわりお願いを装っているが、誤解しようもない命令口調だ。 わけがわからないまま、ピジョンは首を横に振る。 「ど、どうして」 「だって……」 お兄さんがこの子たちの代わりになってくれるのでしょう? 「…………」 慄然と凍り付くピジョン。ビーはおっとりと微笑んでいる。 ピジョンが動かないと見るや残念そうにため息を吐き、自らに侍るコヨーテの一匹に指示を下す。 「ごめんなさいね」 申し訳なさそうに頭をなでられたコヨーテが一声吠え、大穴の方へと走っていく。そして、とびこむ。 穴の底で濁った断末魔が上がる。 肉塊がひしゃげる鈍い音……ピジョンが勇気を振り絞り、穴のふちへと這っていく。 コヨーテが死んでいた。 大穴の底には何本も杭が穿たれている。先端が鋭く尖った、巨大な木製の杭だ。剣山のように聳える杭の一本が、コヨーテの体を貫いている。 「うぐっ」 なんで?自殺?瀕死のコヨーテが不規則に痙攣する。痙攣に合わせて血液がビシャビシャと溢れる。 極限まで剥かれたコヨーテの目が恨めしそうにピジョンを見詰めている― 咄嗟に口を抑えて嘔吐を耐える。やめろ、そんな目で俺を見るな。 コヨーテの目から次第に光が消えていく。 虚ろに濁った眼窩、口の端に這う弛緩した舌、赤黒い血に汚れしなだれた四肢、腹腔から零れた臓物…… 「お洋服を脱いでね、お兄さん」 「や、だ」 仲間の自殺を目の当たりにし、残された何匹かが「くゥん」と哀しげに啼く。 ビーが「しょうのない子ね」とでもいうふうに嘆息する。傍らにお座りするコヨーテがビーに甘え、その手のひらをペロペロなめる。ビーはその子をひとなでして送りだす。 「いってらっしゃい」 「やめ、」 ピジョンが伸ばした手をすり抜け、大穴へと突撃する二匹目。 穴の手前で力強く地を蹴り跳躍、長大な弧を描いて消えていく。ギャン、と悲鳴が上がる。それは紛れもなく悲鳴だった。無念と苦痛に満ち満ちた怨嗟の声。なんで自分がこんな目に?コヨーテにも感情がある。痛みがある。杭に刺さった体がビクビクと跳ね、派手に吐血する。ビーがくりかえす。くりかえす。くりかえす。エンドレスでリピートする。コヨーテが吠える、コヨーテが啼く、コヨーテが叫ぶ、尾をたらして悼む仲間の眼前で力強く跳躍し放物線を描いて杭の先端へ吸い込まれていく― 連鎖する惨劇。連続する死。 |邪悪なる女王蜂《ネイキッドクインビー》に指揮されたコヨーテの|葬列《レミング》。 「お洋服を脱いで」 「やめろ!!!!!」 俺のせいだ。コヨーテは何も悪くない何の罪もないのに俺が言うことを聞かなかったから見せしめに殺された、自殺を強いられた。どうやっているのかはわからない、わかるのはピジョンが聞き分けなくぐずったせいでコヨーテが二匹死んだことだ。 俺が殺した。 「やめろ……脱ぐから、言うこと聞く、から」 震える手でコートを脱ぎ捨てシャツを剥ぐ、膝に引っかかったパンツを蹴りどけて素っ裸になる。カチカチと歯が震え、鳥肌が全身に広がる。 瞬きするのが怖い。 瞼を下ろしたらまたコヨーテが死んでいそうで、取り返しのつかない事が起きているかもしれない強迫観念と被害妄想に骨の髄まで支配される。 「……満足?」 「よくできました」 空虚な拍手が坑道に響く。 恥辱と恐怖に耐えて二の腕を抱くピジョンへと、スキップしながらビーが寄ってくる。 その手に縄が握られている。坑道に落ちていたロープらしい。元は資材運搬用なのか、薄汚れてささくれている。縛り首にされるのかなと麻痺した心でボンヤリ考える。 「四つん這いになって」 「どうするの?」 「ビーと遊んでくれるのでしょう?」 質問に質問で返し、意味深な笑みを深める。拒みたい。断りたい。できない。 焦燥に塗れたピジョンの葛藤を見透かし、ビーがコヨーテを呼び寄せる。 「言うことを聞かないなら、また穴へ落ちてもらいましょうか」 「―ッ!」 コヨーテはまだ何匹もいる。かまわない、見殺しにしてしまえ。俺を犯そうとしたけだものだぞ? ほっとけよ。しらんぷりすればいい。俺は痛くも痒くもない。俺は何も悪くない、アイツらが勝手に死んだんだ、自分から穴へ飛びこんだんだ、串刺しにされて臓物をこぼして…… 「ふゥうッ」 最期の瞬間、コヨーテと目が合ってしまった。 コヨーテにも痛みと感情がある、そう言ったのは俺じゃないか。アレは俺を恨んでた。穴を覗きこんで哀しげに啼くコヨーテの声が、仲間を悼む後ろ姿が忘れられない。 保身に回りたい悪魔の誘惑を振り切り、おずおずとためらいがちに四肢を付く。 ビーが正面に立ち、ピジョンの首に縄を回す。 「ふふっ、できあがり。よく似合うわよ」 首にロープが巻き付く。 喉に食い込んで苦しい。ギリギリ息が吸える程度の寸隙しか許されない。 全裸で四つん這い、麻縄に繋がれたピジョンの姿はまるで犬だ。全身が恥辱に燃え上がる。顔が上げられない。ビーがどんな顔をしてるのか、確かめる勇気がわかない。岩肌のゴツさと冷たさがジワジワと這い上り、感情が負の重力を増して荒れ狂う。 「気が済んだ……?」 「どうして?まだ何もしてないじゃない」 縄を強く引かれる。気道が圧迫、首が締まる。たまらず噎せる。頭上に可憐な囀りが降ってくる。 「ビーの靴、きれいにしてちょうだい」 眼前にエナメルの厚底靴が突き出される。 怯み、あとじさり、再び縄で引き戻される。弱弱しく首を振って慈悲を乞うも、ビーは微笑みにプレッシャーをかけ、黙ってそこに突っ立っている。 やるしかない。 強く目を閉じ、頭から一切の雑念を追い出す。 地面に這い蹲って、ビーの靴におそるおそる舌の先端を近付ける。 靴の表面に舌が触れ、唾液の筋が淫靡に濡れ光る。ピジョンはビーの靴を丁寧になめる。目をキツく瞑り、こみ上げる羞恥と屈辱を殺し、時折意地悪く口に突っ込まれるソレを、頬べたにねじこまれるソレを、顎を押し上げて上向かせるソレを舐めまわす。口の中に広がる泥と砂利の風味、塗料の苦味。気持ち悪い。吐きそうだ。 もう許して、お願いだから。 「っぐ、うっ……ぐゥ」 しゃくりあげる。目尻を熱い涙が伝う。死ぬ程恥ずかしい。 見た目は七歳程度、小さい女の子の前で丸裸になり犬の真似をさせられているだけで一生ものの屈辱なのに、その子の靴をくまなくしゃぶらされている。舌で不器用に磨き立て、唾液を上塗りし、一生懸命キレイにする。 「ちゃんと舌を使って。全然キレイになってないじゃない、まだ汚れてるわよ」 「うぐっ、ひゥ」 「休んじゃだめよ。先っぽまでおしゃぶりして。もっと奥まで入るでしょねえ、口一杯に頬張ってよ」 ビーは次第に大胆になる。ピジョンの額を靴裏で押し返し、頬と鼻を押し上げ、しまいには肩やこめかみを軽く蹴りだす。 「ビーの靴はおいしい?お兄さん」 「ふぐっ、ぐゥうっ」 ピジョンは唇を噛んで耐え忍び、手足が痺れて感覚がなくなるまで、顎がだるくなって舌が鈍るまで奉仕を施す。 「よくできました」 漸く満足したのか、うっとりと靴を見詰めて許しを出すビー。ピジョンはくりかえし唾を吐く。 口の中の違和感が酷い。砂利を噛んだ。手の甲で執拗に顎を拭い、人さし指で掻きだそうとし、奥まで突っ込んでえずく。「ご褒美あげる」ビーが何か言っている。物音がする。薄紙を開く音だ。 ビーが後ろに回り、ほっそりした指で裸の背中に触れる。 「!何、」 「じっとしてね」 ピジョンには見えない箇所で指が動く。小さく華奢な手が腰を掴み、もう一方の手が臀部へ潜る。 「どこさわってるんだよ汚い……やめろ手をどけろ!」 暴れ狂うピジョン。押しかけるコヨーテ。あっというまに押し倒され抵抗を封じられる。ビーが楽しげに含み笑いし、背筋を下へなぞっていく。くすぐったさとこそばゆさが混線する感覚に腰がわななく。 ビーが取り出した飴玉を含んで転がす。ドギツいピンク色の、まるい飴玉。赤い舌と飴玉の色とがまじわって酷く艶めかしい。何する気だ?いやだ怖いさわるな。母さんスワロー助け…… 「や、だ、それだけは」 目に映る光景は悪夢を思わせる。唾液の糸引く飴玉を摘まみだし、ピジョンの尻へ近付ける。まだ誰も受け入れた事のない、何も受け入れた事のない場所に、プツリと圧がかかる。 「ひ」 飴玉がねっとりと円を描く。 「コレがほしいのでしょう?」 「ほしくない、やめろソレを捨てろあっちいけもう俺にさわるな悪ふざけはやめろクインビー!」 「嘘ばっかり」 剥かれた尻が肌寒い。少女が膝を引き立てる。交尾をねだる雌犬のポーズをとらされ、恥ずかしさと惨めさで頭がおかしくなりそうだ。人さし指の先端で飴玉が押され、固く閉じた孔がこじ開けられる。 「!?ィあっ、ふッあァ」 痛い。裂ける。丸くなめらかな異物が、ゆっくりと押し込まれていく。ピジョンは限界まで仰け反り絶叫する、肛門にめりこむ飴玉が粘膜を擦る。排泄せんとする弾力に逆らって挿入されたソレは、ピジョンの中を容赦なく抉り、押し広げ、違う何かへ作り替えていく。 「もっと大きくお口を開けて」 「ひっ……や、め、抜いて……ッ、指、飴、だしてっ……」 一声を発するごと体を引き裂く激痛が走る。吐息が掠れ、内臓が軋む。体の中でコリコリと飴が動いているのがわかる。ビーのほっそりと優美な指は、奥深く押し込むだけでは飽き足らず、捻り、ひっかき、ピストンし、好き放題にピジョンの中を蹂躙する。 「あっ、あぅっ、あっああっ」 「お兄さんてば、さっきのコヨーテみたく夢中で腰を振ってる。泣いちゃうほど気持ちいいの?ビーの飴はおいしいでしょ?どんどんキツく締め付けて……もう奥までイけるわ。中でコリコリしてるの、わかる?」 「痛っぐぅ、や、許してやだ、苦し、そんなに入らな」 ビーの指が二本に増える。 ピジョンは見えない。 でも感じる。 「ビー知ってるのよ、男の人はおへその裏を擦られるととっても気持ちいいのでしょ?ここがお兄さんの一番狭い場所ね。奥まで届いてるの、わかる?ふくらみに指があたっているでしょ」 「あっ、ぅあ、やぅ、ああっあああっ!」 「すごい、ひとりでに腰がうねってる。お腹を裏ごしされて、前もなんだか立ち上がってきたわよ」 圧迫感が倍に増し、苦しくて息ができず、ささくれた麻縄が首に食い込み、しこりきった乳首は外気にさえはしたなく感じて、体中コヨーテになめまわされて、生温かい吐息が肌を湿して、ピジョンはもうわけもわからず喘ぎ、啜り泣き、腰を振り、何とか吐きだそうと力み、かえってキツく咥え込み、気持ち良すぎて泣いて、べとつく涎を垂れ流して、中の一番敏感な部分、うねるシコリに飴玉がはまりこんで― 頭の中で光が爆ぜた。

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