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番外編1 オーストラリアの島 マーカス1
あれから三年が経った。
ジャックの留学期間が終わり、俺も後は卒業式を待つばかり。今は最後の春休み中だ。
俺たちの関係はあの時から変わっていない。俺はジャックが好きで、ジャックも俺が好きだ。すぐにでも結婚したいが、お互いの仕事が落ち着き、オーストラリアで生活出来るようになってからという事になっている。
俺は在学中にUSCPA(米国公認会計士)の資格を取った。この資格があればオーストラリアでも会計士として働けるからだ。元々、公認会計士を目指そうかと思っていたので大幅な進路変更ではない。
春からは会計事務所への就職が決まっている。
ジャックも日本の旅行代理店への就職が決まった。留学ビザから就労ビザへの変更もスムーズに出来て一安心。いずれはその会社のオーストラリア営業所への移動を希望している。
俺の家族にもカミングアウト済みだ。
案の定、両親は理解を示してくれた。元々俺は女の子が好きなのを知っていたからびっくりはされたが、ジャックを紹介すると何故か納得された。
母さんには「あんたはこういう男性に可愛がられるのが似合ってる」って言われたけど、そういうのが似合うのはルイみたいな可愛いタイプじゃねぇの?解せぬ。
妹のはしゃぎっぷりは言わずもがな。説明は面倒くさいので略。察してくれ。
結婚も、オーストラリアでは同性婚が認められていると知れば「絶対にオーストラリアに行って結婚した方がいい」と言ってくれたし、このままいけばジャックがオーストラリアに移動になった際に、俺も一緒に行って結婚する事になるだろう。
だがそれまでには数年かかる。だから俺は、春休み中に一時帰国するジャックに付いて行く事にしたんだ。
ジャックの家族にもあいさつしたいしなっ!!
そしてついに来ましたオーストラリア!ケアンズから飛行機を乗り継いで、ジャックの実家がある島の近くの大きな島に着く。そこからはフェリーだ。
「うわぁっ!!綺麗すぎるだろっ!!」
フェリーから見る景色は絶景だった。白い砂浜と青い海が重なりあうように混じり合っている。白い砂浜の上に青い水が流れ込んでいる感じ。それが何キロも続いてるんだ。
「そうだね。見慣れすぎてて何とも思ってなかったけど、久々にみたらすごかったんだなって思うよ。でもそれよりオレは、マーカスがこの景色を見て喜んでくれてるって事実が嬉しいよ。」
うっ?!サラッと甘いセリフ吐いてきやがるなっ?!まぁ、いい。俺は軽く受け流して景色を堪能した・・・ん?ジャックの手が俺の腰にまわる。
「お、おい。ここってご近所さんなんだろ?誰かに見られるぞ?」
「ん~むしろ見せつけたいかな?マーカスがオレの知り合いにナンパされたらムカつくし。」
あっ、そうだ。こいつも昔は観光客の男を食いまくってたんだった。
「いまだにそんな感じなのか?」
「さぁ?ティムにはエナがいるし、他の友達や知り合いもそろそろ落ち着いてるかもしれないけど、逆に若者も育ってるから同じ状況なんじゃないかな?」
そりゃそうだろ。俺らが落ち着く歳になったら自動的に若者はそんな歳になる。
「ジャックの兄弟は?お兄さんと妹さんだよな?」
「うん。兄のベズは、ティムの妹のレニと結婚してるんだ。妹のサラはまだ高校生。」
「へぇ?ティムの妹さんと?みんなに会えるのが楽しみだな。ご両親に会うのはちょっと緊張するけど。」
「ウチの親は大丈夫だよ。マーカスを大歓迎するはず。ウザいくらいにね。」
だといいなぁ。
そしてフェリーは島に着く。その港にはすでにティムとエナちゃんが迎えに来てくれていた。
「ティム!エナちゃん!うわぁ!!何かめちゃくちゃ感動だっ!!外国で友達に会えるのってすげぇ嬉しい!!」
「マサ!いらっしゃいませ。久しぶりだね。まさかマサがジャックと付き合うなんて思っても見なかったよ。」
ティムとハグをするも、ジャックにすぐ引っ剥がされた。次にエナちゃんとハグしたけど、それはいいらしい。
「本当にね。けど嬉しいよ。僕たちいずれ親戚になるんだもんね。ここは本当にいい所だけど、やっぱり時々日本が恋しくなるから。マサカズくんがジャックと結婚してくれるとものすごく嬉しい。」
そう、エナちゃんはすでにティムと結婚してるんだ。俺もエナちゃんが居てくれてむちゃくちゃ心強い。
俺はティムが運転する車の中で、エナちゃんと色々喋りまくった。ジャックの家族の情報とかマジでありがたい。
そして、然程時間もかからず、ジャックのご両親が管理している、たくさんのバンガローやコテージがある場所に着いた。
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ジャックの実家がある島は、オーストラリアのハミルトン島近くにある架空の島という設定です。
ネットで調べながら完全に想像で書いている為、おかしな部分があればすみません。
ルコ
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