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第三章・4

 笑い合い、紅茶を飲み終えて、宇実は要に訊ねた。 「もうそろそろ、帰った方がいいんじゃない? 家族が、心配しない?」 「今は、マンションに独りで住んでいるんだ。この近く」 「同じだ。僕は、アパートだけど」  自立するため、要は使用人も置かずに初めて1人で暮らし始めたという。 「少し寂しいけれど」 「そうだよね」 「宇実は、お母さまはいないのかい?」 「母さんは、僕が小さい頃に交通事故で」  ごめん、と要は謝った。 「何だか、君を傷つけるようなことばかり言っている」 「大丈夫だよ」  宇実の母は、確かに死んだ。  だが、亡くなるまでの温かな思い出を、たくさん宇実に残していた。 「だから、気にしないで」 「ありがとう。宇実は、優しいな」  そう言う要の声の響きの方が優しい、と宇実は考えていた。

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