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第四章 要さんは要さん

 要と宇実が出会って、二週間ほどが過ぎていた。  校庭の桜も、すっかり若葉に衣替えした。  そんな中、要は学校の人気者になっていた。  頭脳明晰、スポーツ万能。  裕福で、ルックスが良くて、人当たりがいい。  誰もがこぞって友人になろうとしたが、彼の隣にはいつも宇実がいた。 「どうして、僕なのかな」 「ん?」  お昼の学食で、宇実は要に思わずそう問いかけていた。 「朝に、大野(おおの)くんたちが、一緒にお昼食べよう、って誘ったでしょう」 「ああ、確かに」  だが要は、その申し出を断ったのだ。  宇実と食べるから、と。 「迷惑だった?」 「迷惑なんかじゃないよ」 「それなら、傍にいさせて欲しいな。宇実と一緒にいると、心が安らぐんだ」 「そ、そう?」  要は思ったことを、素直に口に出す。  そんな彼に、宇実はしばしば照れていた。  まるで、恋人に語りかけるような言葉。  そして今日はさらに、こんなことを言ってきた。

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