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第四章・2
「ね、宇実。よかったら今夜、私のマンションへ泊りに来ないか?」
「泊りに!?」
うん、と要はうなずく。
「実は最近、よく眠れないんだ」
「確かに、初対面の時より疲れた顔してる」
「君がいてくれると、ぐっすり眠れそうな気がして」
「そういうことなら」
家族や使用人たちと賑やかな日々を送っていた、要だ。
軽いホームシックにかかっているんだろうな、と宇実は考えた。
今日は、金曜日。
明日と明後日は学校が休みなので、ゆっくりと過ごせる。
宇実が首を縦に振ると、要は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう。よかった!」
「お邪魔するよ」
帰り道に、買い物をしよう、と要は浮かれている。
「ディナーに、デパ地下で何か美味しい物を買って。そうだ、明日の朝食も準備しなきゃ!」
まるで遠足にでも行くかのように、はしゃぐ要。
それを呑気に眺めていた宇実だったが、放課後は驚きの連続だった。
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