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第四章・3

「宇実は、何が食べたい? サラダにマリネ、ローストビーフに、キッシュに、生春巻き……」 「オードブルだけで、そんなに食べきれないよ!」  結局お弁当にしようと落ち着いたが、要は一番高価な重ねすき焼き弁当を選んだ。  支払いは、スマートにクレカで行う。 (やっぱり良家の御子息なんだな)  彼の財力に引け目を感じながらマンションへ着くと、広い広い部屋に通された。 「ここが、リビング。ダイニングに、キッチン。こっちは書斎で、あちらが……」  どの部屋も贅沢な間取りで、天井が高い。  機能性に優れているが、優美さを忘れない家具がそこを彩り、ゴージャスなことこの上ない。 「あ、あの。要さん、僕お風呂に入りたいな」 「え? ああ、ごめん。疲れてるよね」  正直なところ、宇実は一人になりたかったのだ。  しばし、この回る目を落ち着けたかった。  だがしかし。 「……瞑想ができそう」  案内されたバスルームも広く、大きな観葉植物まで飾ってある。  ゆったりとしたバスタブに脚を延ばして浸り、宇実は少し悲しくなってきた。

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