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第五章・2
要は要で、手に汗をかいていた。
(とうとう宇実を、同じベッドに招いてしまった)
初めて出会った時から、心を奪われた少年。
遠回しに、好意を伝えてきたつもりではあったが……。
(宇実は、鈍感だからなぁ)
そこがまた、良いのだが。
富豪の子息ということで、周囲にはいつも人がいた。
中には、お近づきになって巧いことパートナーに、ともくろむ者もいた。
勘のいい要は、そんな人間にはこちらから願い下げをしてきたのだ。
大勢に囲まれながらも、孤独を感じていた。
そんな時、宇実に出会ったのだ。
愛らしい見た目に、初めはときめいた。
だが、付き合ううちに、その人間性に惹かれるようになった。
決して媚びない、その精神。
いつも優しい、心根。
出会って二週間で、夜もぐっすりと眠れないほどに、恋心は募って行った。
そして今、パジャマを着た宇実が隣に寝ている。
要の緊張も、高まっていた。
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