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第六章・3
「伯父さん!」
片腕を上げる宇実に、手を振り返す男がいる。
「要さん、紹介するね。こちらが、僕の伯父さん」
人のよさそうな、日に焼けた男が、要に笑顔を向けた。
「どうも、清水です。宇実くんが、お世話になってます」
「こちらこそ。天羽 要です。よろしくお願いします」
要を見て、伯父はすかさず宇実を肘で小突いた。
「こいつ。こんなにイイ男、連れて来て!」
「お、伯父さん!」
聞いてますよ、と伯父は要にべらべら喋った。
「毎日電話で、カッコいいだの、素敵だの、お洒落だのと……」
要は、目を円くした。
てっきり、愛の重さは私の方が大きいと思っていたのに!
「ち、違うんだ。伯父さんには毎日、経営のことを訊いてただけ!」
顔を赤くして言い訳するところを見ると、どうやら本当に伯父にのろけていたらしい。
「嬉しいよ、宇実。私に、好意を持ってくれていたんだね」
「うぅ……」
黙ってしまった宇実の肩を、伯父がポンと叩いた。
「さ、行こう。天羽さんに、見せたいものがあるんだろう?」
そうだった、と宇実は要の手を引いた。
「行こう、要さん」
見せたいものって、この思い出の海じゃなかったのか?
不思議に感じながら、要は宇実に連れられて桟橋へ向かった。
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