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第六章・4
桟橋には伯父の小型ボートが停めてあり、宇実は要をその船に乗せた。
「はい、ライフジャケット。必ず、しっかり身につけてね」
「沖へ出るのかい?」
「そんなに遠くじゃないんだ」
要がライフジャケットを着ると、伯父がエンジンをかけた。
港内はゆっくりと徐行していたボートだが、いったん開けた海に出ると軽快に走り出した。
「うわぁ! 気持ちがいい!」
潮風に髪をなぶらせながら、要は宇実に笑顔を向けた。
「ありがとう、宇実。昔を思い出すよ!」
潮の香り、白い波、緑の島々。
自然に抱かれ、要は上機嫌だ。
「まだ、これから。要さんに、新しい思い出をあげる、って言ったでしょう」
そういえば、そうだった。
しかし、これ以上どんな素敵な出来事が?
小さな無人島の数々をぬって走るボートは、やがてその島の一つに到着した。
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