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第六章・5
「足元に、気を付けて」
伯父の手助けを借り、要は宇実と共にボートを降りた。
海の上に浮かぶ筏の上をそろそろと歩き、やがて小さな小屋に入った。
小屋には数人の大人たちが、作業の合間の一休み中だった。
腰掛けてテーブルに向かい、和やかな様子だ。
「皆さん、お疲れ様です!」
宇実の声に、人たちは顔を上げた。
「宇実さん!」
「宇実くん、久しぶり」
「若社長、元気だったか!?」
口々に明るい声を、宇実にかける。
「宇実、彼らは?」
「要さん、紹介するね。皆さんは、真珠養殖の職人さんたち」
よろしく、と職人たちは軽く会釈した後、今度は宇実に訊いてきた。
「宇実くん、そちらは?」
「え? えっと、ね。……僕の、彼氏」
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