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第七章・3
「はい、要さん。真珠の珠出しをやってみない?」
「え? いいのかい?」
伯父が、四角いバットと小さなナイフ。そしてピンセットを用意してくれた。
「私は全くの素人だよ? いいのかなぁ。真珠に、傷でも付けると……」
「出した真珠は、要さんにそのままプレゼントするから、大丈夫」
「それが、5%の花玉だったら?」
伯父が、笑った。
「まさか。そんなことは、無いよ!」
そうですか? と要は不敵に微笑んだ。
「私は、こういった引きは強い方ですよ」
四角く平たい網に、お行儀よく並んだアコヤガイ。
その一つを、要は指さした。
「これにしよう」
「よし、解った」
伯父は器用に貝を網から外すと、バットの上に丁寧に置いた。
「要さん。最初、貝の口を少し開いて。そして隙間からナイフを入れて、貝柱を切るんだ」
「ありがとう、宇実。やってみるよ」
伯父と宇実が見守る中、要は慎重に貝を開けた。
生き物を殺めて、宝石を手にする。
そうまでしても、古来より続いてきた真珠への人間の思いを胸に刻んだ。
ここまで手塩にかけて貝を育ててきた人間の情熱を、心に刻んだ。
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