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第八章 夜に
海で素敵な思い出を作った要と宇実は、夕食を伯父と共に外で済ませてマンションへ帰った。
「ああ、楽しかった!」
「要さん、真珠は必ず渡すからね」
「ありがとう。じゃあ、宇実。バスタイムにしよう」
「ま、また一緒に入るの!?」
二人でバスを使った方が時短になる、と言う要に、宇実はすぐに裸にされてしまった。
恥じらい、前を隠す宇実と違って、要は素裸でも堂々と振舞っている。
柔らかなスポンジを手に、楽し気に語り掛けてくる。
「背中を、流してあげるよ」
「あ、僕が先に洗ってあげる」
「そうかい? じゃあ、頼もうかな」
すぐに背中を見せる要の所作は、自然だ。
(きっとお屋敷では、使用人さんに洗ってもらってたんだろうな)
そんなことを考えながら、宇実は広い要の背中に泡を立てた。
「はい、交代。今度は、私の番だ」
「うん」
宇実は、全くの無防備に背中を預けた。
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