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第八章・4

「パジャマ、脱いだ方がいい?」 「私も、脱ぐよ」  急がず、さらさらと衣服を脱いだ。  肌を合わせてキスをすると、バスルームでのひとときが思い出される。  宇実は充分リラックスして、その身を要に預けた。 「僕、初めてじゃないんだ。ごめんね」  中学生の頃に、宇実はクラスメートの男子と付き合ったことがある。  彼もアルファだったが、要に比べると我がままで強引だった。  卒業を機に別れた後は、一度も会っていない。  そんな宇実の告白に、要は軽く彼の肩に歯を立てた。 「少し、妬けるな。でも、お相子だ」  要もまた、過去に恋人がいた。  有名な学園の子息は皆、いい所のお坊ちゃんだ。  育ちはいいが、どこか無個性な彼らと、要は出会いと別れを繰り返していた。 「僕も、少し妬ける」 「お互い様だね」  ふふっ、と笑い合い、またキスをした。  今度は熟れた、大人のキスをした。

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