43 / 94
第八章・5
「ああ……」
密やかな宇実の声が、寝室にこぼれる。
要の耳はそれを拾い、身を火照らせる。
「要さん、僕。僕、もう、ダメかも……!」
「出そう?」
低い要のささやきは、宇実の引き金になった。
「……ッう! あぁあ!」
震え、宇実は精を吐いた。
はぁはぁと息を荒げ、細かくわななく宇実は扇情的だ。
要はひくりと喉を動かし、彼の体内から指を抜いた。
「宇実、大丈夫? ……中に挿れても、いい?」
「要さん、来て」
恥じらいながら眼差しを寄こす宇実に、ぞくりとくる。
要は初めて味わう興奮に、困惑した。
(こんなに昂ったことは、これまでに無いな)
我を忘れてしまう心地だ。
それでも要は、宇実の体をいたわることを見失ってはいなかった。
ゆっくりと、静かに慎重に、腰を進めた。
「あ、うぅ、う」
「痛くない?」
「大丈夫。すごく、素敵だよ」
オメガの愛液で潤った宇実の体は、大きく長い要のペニスを受け入れた。
「要さん、僕。僕たち、一つに……」
「ああ。一つになれた」
宇実の胸も、要の心も、歓びに満たされた。
ともだちにシェアしよう!