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第十章 いつも傍にいたい

 日曜日の夜、要は放心していた。  隣に宇実は、もういない。  自宅アパートへ、帰ってしまったのだ。  一緒に音楽を聴き、共に歌い。  街へ出て、ショッピングをして、映画を観て、お茶を飲んで。  夕食を食べ、お喋りをし、キスをした。 「だのに、苦しい」  明日も、朝から彼に会える。  一緒の学校へ、同じ電車で通えるのだ。  それなのに、要の心は虚ろだった。  今まで、こんな気持ちは味わったことがなかった。 「恋は、楽しいだけのものだったのに」  宇実と離れている時間が、こんなにも苦しい。  会いたい。  今すぐにでも。 「しかし、さっき電話を終えたばかりだ」  あまり付きまとうと、わずらわしく思われるかもしれない。  そう考え、思い切って立ち上がるとバスルームへ向かった。

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