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第十章・3

『じゃあ、そろそろ切るね』 「待って、宇実」 『何?』 「君は、どうして電話をくれたのかな」 『えっと……。ごめん、迷惑だったかな』  迷惑だなんて、とんでもない。  要は、スマホを握り直した。 「ただ、私もちょうど君の声が聞きたかったものだから」 『僕も、だよ』 「えっ」 『僕も、要さんの声が無性に聞きたくなって』  おかしいね、と宇実は言う。  さっきまで、一緒にいたのに。  ついさっき、別れたばかりなのに。  宇実の言葉は、要に衝動を与えた。  思いのたけが、口をついて出た。 「宇実。私と、暮らさないか?」

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