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第十章・5
許しが出たら。
伯父さんが許してくれたら、僕は……。
通話を終えた宇実の胸は、速く打っていた。
「要さんは、秋にはいなくなっちゃうのに」
だのに、こんなに。
「こんなに好きになっちゃった……」
いつも一緒にいたいくらい、好きに。
彼のマンションで共に寝起きしたいくらい、好きに。
「どうしよう」
しかし、もう走り出してしまった心は、止まれない。
宇実は、震える指先で伯父のアドレスをタップした。
繋がらない。
「伯父さん、忙しいのかな……」
もう少し。
もう少しだけ、待ってみて……。
11回目のコールで、電話は繋がった。
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