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第十章・6
「もしもし、伯父さん?」
『ごめんな。待っただろう?』
「ちょっと、相談があるんだけど……」
『何だろう?』
要に、マンションで一緒に住まないか、と誘われた。
宇実は、隠さず素直にそう打ち明けた。
「それで。伯父さんは、どう思う?」
『どうって……。宇実くんは、どうなの?』
「……僕は、要さんと一緒に暮らしたい」
伯父は、ダメだと否定はしなかった。
ただ、穏やかな声で、たしなめた。
『天羽さんは、秋には海外に行ってしまう、って宇実くん言ってたよね』
「うん」
『それを承知で、同棲したいの?』
宇実は唇を噛んだ。
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