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第十一章・3

「要さん、車買ったって……、これ?」 「厳密にいえば、お父様に買っていただいた、だけどね!」  マンションの駐車場に颯爽と現れた、白いフェラーリ。  滑らかな流線形のボディが、美しい。  免許は持っている、とは聞いていたが。 (超・高級車だよ。要さん!) 「さあ、宇実。出かけよう!」 「こ、この車で?」 「週末が、待ち遠しかったよ。バケツも長靴も、軍手も載せてあるよ!」  5月は、潮の干満差が大きい。  宇実は、大きく潮の干く日を選んで、要を磯遊びに誘っていたのだ。  しかし、そのために自動車を買うとは!  しかも、フェラーリだなんて! 「荷物を抱えて電車に乗るのは、大変だと思って」 「うん……」  要の行動力に改めて驚かされた、宇実だった。

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