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第十一章・5

「要さん。剥いだ石は、元通りに戻してね」 「そうだな。小さな生き物の、すみかなんだね。石は……ん?」  見ると、石にも何か赤い丸いものが付着している。 「宇実、これは?」 「ウメボシイソギンチャクだよ」 「ウメボシ? だったら!」 「食べられない、ってば!」  笑いながら、要と宇実は楽しい時間を過ごした。  遊んだ後は、お楽しみのランチタイムだ。  海辺の洒落たカフェで……、ではなく、宇実手作りのおむすびを、要は頬張った。 「美味しい!」 「良かったぁ」  潮の香りを存分に吸った後の塩むすびは、ひどく胃を喜ばせる。  こんなに美味しいおむすびは初めてだ、と要はいくつも口にした。 「外で、海を見ながら食べても美味しかったかも」 「うん。でも、結構日差しを浴びたからね。体を休めないと」  要のフェラーリの中が、小さなレストランだ。  おむすびを食べ、お茶を飲み、簡単な昼食は終わった。

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