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第十二章 6月の誕生石
「うーん」
6月、宇実が難しい顔をしてタブレットを睨んでいる。
それをスマホで写真に収め、要は微笑みながら身を乗り出した。
「何を唸ってるんだい?」
「うん。業績がね、今一つ伸びないんだ」
宇実の伯父も、電話で困った声を出していたという。
真珠は、6月の誕生石だ。
そのことが、売り上げアップにつながると期待していたが……。
「このところの不景気で。みんな、真珠を身に着けるどころじゃないのかなぁ」
それだけでは、無い。
海外から国産より価格の低い真珠や、淡水パールが輸入されるし、イミテーションも人気だ。
それらに押されて、国内の真珠業界は皆、痛手を受けている。
「業績アップ、か。そうだね、まずはホームページを少し変えてみたらどうかな」
「ホームページ?」
「たとえ不景気でも、お金はある所にはあるんだから。そういう層の人間を、捕まえるような雰囲気に変えるんだよ」
「高級志向、ってことかな」
「うん」
要は宇実に、セレブが好みそうな洗練されたフォントや、写真の差し入れ方を話した。
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