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第十二章・2
「ありがとう、要さん。さっそく伯父さんに、提案してみるよ」
「そうするといいよ。しかし、あと一押しが欲しいな……」
魅力的なホームページの作成なら、他社も頑張っているところだ。
もう少し。
頭一つ抜きんでた情報が、欲しい。
「あっ!」
「どうしたの?」
「いや、一つ思い出したことがあって」
そういえば、私だっていわゆるセレブだ。
いつも贅沢をし、お金に不自由したことなど一度もない。
社交界に顔を出し、晩餐会を開く。
そして……。
「宇実。私のお兄様の力を、借りよう」
「お兄さん?」
二年後に、結婚することになっている、要の兄。
天羽家は代々、伴侶には宝飾品を贈る習わしがある。
「お兄様に、宇実の真珠を使ってもらおう」
要は、両手を打ち鳴らした。
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