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第十二章・3

 天羽家の御用達、となれば、宇実の真珠に箔が付く。  そう、要は考えたのだ。 「でも。うまくいくかなぁ」 「大丈夫、安心して」  不安げな宇実を励ますと、要はスマホを操作した。  まずは、メールを送る。  すでに成人し、父を助けながら会社の経営に携わっている兄は、多忙だ。  いつ電話していいかの、お伺いを立てた。  やがて、正午近くに返信が来て。 「今晩の9時以降なら、いいそうだよ」 「ありがとう、要さん」  二人で、ドキドキしながら午後を待った。  9時を計って電話をすると、兄はすぐに出てくれた。 「お兄様、お久しぶりです」 『久しぶり、ったって。まだ二ヶ月しか経っていないよ?』  声を立てて笑うところを見ると、兄は今、ご機嫌が良いようだ。  要は一安心して、要件を切り出した。

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