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第十二章・5
真珠を使ったジュエリーの話は、思いのほかとんとん拍子に進んだ。
当初はブローチを、と思っていた贈り物を、ティアラにする、とまで兄は約束してくれた。
『清水さんの真珠をふんだんに使って、贅を尽くしたものにしよう』
「お兄様、ありがとうございます!」
『それはそうと。宇実くんとの仲は、どれほどのものなんだ?』
「え?」
『要。君は次男とはいえ、いずれは天羽の会社を任される身なんだ』
「はい」
『軽はずみなことだけは、するなよ』
「……解っております」
後は陽気に、おやすみ、とだけ言い残し、兄は通話を終えた。
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