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第十三章・2
マリンレジャーの季節でもあり、宇実の真珠がある海に、他県から観光客が訪れるようになっている。
遊覧船に乗ったり、ヨットを走らせたり。シーカヤックで遊んだり。
『ただ最近、海のマナーを知らない人たちが出てきてね』
「例えば?」
『ジェットスキーや、クルーザー。スピードを落とさずに海上筏の近くを走るんだ』
「危ないね」
宇実の伯父は、電話でそう愚痴をこぼしていた。
乗り物が立てる波が筏を揺らすと、その上で作業をしている職人たちが危険だ。
海に転落する恐れが、ある。
「海上保安庁に、連絡する?」
『それもいいかもなぁ。注意しても、耳を貸してもらえないんだよ』
「僕、今週末に海
『そうだね。宇実も、その目で確かめておいた方がいい』
伯父との電話を終えた宇実の眉間には、縦皺が入っていた。
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