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第十三章・4

 宇実と要、二人が海で出会ったクルーザーの青年は、思っていたより品のいい男性だった。 (僕、タトゥーとかしてる人を想像してたよ) (宇実。人は見かけによらないよ)  海上筏の傍を運行する時は、スピードを落として欲しい。  そうお願いする宇実の言葉を、青年は鼻で笑った。 「僕のクルーザーを見かけたら、筏の者たちは何かにしがみついて海に落ちないようにしなよ」 「でも、海はみんなのものです。マナーは守っていただかないと」 「海はみんなのもの? じゃあ、僕のものでもあるわけだ。好きにさせてもらうよ」  そこに、青年の仲間たちが乗り込んできた。 「何なに? 何か、もめごと?」 「早く出かけようぜ!」  彼らに押されるようにして、宇実は仕方なくクルーザーから離れた。

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