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第十三章・6
伯父の大声は外に漏れ出るほどだったので、会話の内容は傍で聞いていた要にも伝わった。
「宇実。驚くのはこれくらいにして、何か手を打たないと」
「要さん。でも、僕、どうしたら……」
「海上保安庁に、まず連絡を。もう、誰かしているかもしれないけど」
「う、うん」
宇実が電話をする間、要は兄に電話をしていた。
運よく兄は手が空いていたらしく、すぐに繋がった。
「お兄様、お願いがあります!」
『どうした、藪から棒に』
「私の大切な海が、汚染の危機にあります。手を貸してください」
『海が汚染される?』
詳しく聞こう、と言ってくれた兄に、要は事の経緯を伝えた。
すがる思いだった。
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