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第十三章・7

 兄の判断は、迅速だった。 『油処理の会社に、至急連絡しよう。オイルフェンスや、オイルマット。油吸着分解材を準備できる』 「お願いします!」  ああ。  ここでも私は、無力だ。  宇実に、何もしてあげられない。  動くのは、お兄様。  歯噛みする要に、兄は言った。 『要。君には何より大事な役割がある』 「何でしょう」 『宇実くんを、支えてあげることだ。それは、私にはできない』 「はい!」  通話を終え、要は宇実を抱き寄せた。  あまりの惨事に、唇を青くして震わせている宇実を、抱きしめた。 「しっかりするんだ、宇実。海の未来は、君が担っていくんだから」 「うん……、うん!」  私が、ついてる。  要の言葉に、宇実は踏みとどまった。  崩れそうな心を、保った。

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