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第十四章・5

「宇実。痛くない?」 「平気……、あぁ、う」  もう、何度目になるだろう。  数えきれないほど愛を交わしたのに、いつでも声を掛けていたわってくれる、要。  そんな彼の優しさが、宇実は大好きだった。  大好きだから、声に出る。  声を上げて、訴える。 「要さん、好き。大好き……!」 「私も、宇実を愛してるよ」  一つに交わり、溶け合う夜を過ごしていた。  何度も、何度でも。  要の腰突きが速く激しくなり、宇実を震わせる。 「あ! あぁ、もう! もう、ダメぇえ!」  宇実から勢いよく白い精が飛び、要はその体液ごと彼をしっかりと抱きしめた。  腰を擦り合わせ、骨を軋ませた。 「……宇実ッ!」 「うぁ、あ。あぁああ!」  スキン越しに、熱い要の放つ命の種が宇実を叩きつける。 「要、さん……。あぁ、はぁ、はぁ。うぅ、うう……」 「宇実」  抱き合って、震え合った。  解っている。  これが最後の、愛の行為。  祭りの翌日、要はこの地を離れることになっていた。  そして二人は、祭りを明日に控えていた。

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