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第十五章・5

 ホテルも手荷物も、渡航の準備も、天羽家の人間が万端に整えている。  後は、要がそれに従って動くだけだ。 「私は、君に出会えて本当に良かったと思っているよ」 「うん」 「短い間だったけど、ありがとう」 「うん」 「見送りには、来ないで欲しい。辛いから」 「うん」 「それから……」 「うん。うん……」  花火を眺めながら、要と宇実はずっと語り合っていた。  手を、固く握り。  涙を、浮かべて。  やがてスターマインが花開き、周囲は大きな歓声を上げる。  その中で、二人はしっかりと抱き合った。  華やかな光と音の中で、ただひたすら互いを求め合った。

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