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葬儀 6
「るりは、君と同じように才能のある原石だ。それを置いて逝かなくてはならない玄上の無念さを分かって欲しい」
「…………」
「彼に師を見つけることができれば、すぐにそちらに行かせるから」
「……いつ、ですか?」
心細げな問いに、逆にこちらが訊ねたかった。
特異な外見で、男娼として身をひさいでいた少年を受け入れてくれる相手がいるのか?
るりをあのままにしておけないのも本心だし、なんとかその才能を芽吹かせてやりたいのも本心だ。
けれど、突き動かされるままに行動してみたはいいものの、その前途は多難と言う安易な言葉で片付けることはできないのは理解している。
「すぐ、だよ」
声が震えないように祈った。
わずかな声の揺らぎさえも翠也は気づきそうで……
「もちろん、奥様がお許しになればだけれど」
「……」
「でも、玄上には恩もあるから、頼むと言われた以上は……翠也にはすまないが っ!」
きつくしがみつかれて息が止まる。
「こ、心移りなど、されませんよね?」
彼にとって、それが一番の不安なのだろう。
かつてるりを好ましく思ってしまった身としては、それをただの悋気と笑って流せない。
「当たり前だろう?」
ただ、真摯に返すしかできなかった。
浴槽の縁から翠也の体がずるりと崩れ落ち、果てたばかりの牡が抜けた。
「は、ぁっ……」
余韻に体を震わせる翠也の最奥から、俺が垂れ流したものが溢れて伝って征服欲を満たして行く。
湯のせいだけではない紅潮した顔の色気に屈して、その体に覆い被さって口づける。
「今夜は、僕の部屋でお休みになりますか?」
手早く着物を着ながら問いかけられて、逡巡はしたものの首を振った。
二人の関係が露見した先にあるものを考えると、そう言った危険は冒せない。
そうすることができたならどれほどよかったかと、後ろ髪を引かれる思いで断る。
「心配しなくとも、俺は工房で寝るから」
「それでは風邪をひいてしまいます」
寄せられた眉に申し訳なく思いながら首を振ると、翠也の目に悲しそうな感情が浮かぶ。
「長くそんな生活をするわけじゃないから」
俺を案じてくれていることに嬉しさを感じながら、安心させるためにそう告げた。
自室の戸を開けて中の様子を見ると、布団の膨らみと規則正しい上下の動きが薄暗い中に見て取れる。
「眠れているようだな」
俺自身にとってもそうだったように、るり自身にとっても今日は多くのことが起こった一日だっただろうに……
るりの強さに感服しながらそっと音を立てないように戸を閉めて、工房へと向かう。
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