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金木犀 6

 るりはぱっと頬を赤らめると、小さな子供のようにこくりと頷いて俺の腰に跨る。   「好き……卯太朗、すごく好き」  首に腕を絡めながら腰を下ろするりの目には俺だけが映っているのが見えた。  ぬちゃぬちゃと結合部分から粘つく音が響き、堪え切れないるりの声が細く悲鳴のように上がる。 「るりっ  しっ」 「んんっだって、うたろ……が、いいとこばっかり突くからぁ」  そう抗議の声を上げるも、声は縁に立たされた者の声だった。  わずかにでも押してやればあっと言う間に堕ちる……いや、昇天する声だ。   「ひぅ、やぁっだ、めぇ」 「ここ? るりはここを苛められるのが好きだな」  このような場所と言うことが頭から飛んだのか、涎に塗れた唇を開けてひっきりなしに悲鳴を上げるるりを、更に苛めるために充血してぷくりと膨れ上がった乳首を強く掻く。 「やぁぁっ、あ、出……」  首を振って逃げようとする体を引き寄せて苛んでいた箇所を口に含むと、腕の中の体がぶるりと震えて藻掻くようにしがみついてくる。  息ができないほど力強く縋るその態度は、るりに求められているのだと心を満たす。  軽く歯を立てた瞬間、過ぎた快楽に逃げを打つ体が暴れて金木犀を手折り、一際濃い芳香が鼻の奥に絡みつく。 「  ぃいっ! うた  ……ぁ、んっ」  体内の熱が駆け上がる感覚に任せて思うままに腰を振り、喘ぐるりを更に追い詰めるように先走りで光る先端を執拗に攻め立てる。 「ぁ……あああああっ」  ぴりっと首筋に痛みが走ったのをきっかけに内へと吐き出すと、それと同時にるりの先端からも白濁の液が飛び散っていた。  ぺちゃりとるりが自分の飛ばした飛沫を舐める。  舐められるくすぐったさに埋火となった火が再び掻き立てられそうで、逃げるように身を離す。 「  さぁて……」  るりと自分自身を見下ろすと溜め息しか出ない。  互いに汗と精液、土と枯れ葉でどろどろだった。  亜麻の髪を手で梳くも、細かな金木犀の花はもつれた髪にしがみつくようですべてを取るのは不可能に見える。 「参ったな」  色の薄いるりは、ひやりとした風に吹かれても未だに紅潮がはっきりと見て取れる状態で、何を行っていたかはおぼこい娘でもわかりそうな状態だった。  これらの痕跡を隠す妙案はないものかと首を捻った時、ぴりっと首筋が痛んだ。 「  っ」  痛みに顔をしかめると同時に、その心当たりにさっと胸の内が冷たくなった。 「あっ……おれ……」  俺の顔色を見たのか、るりもさっと顔色を青くして身を竦ませる。 「ごめ  ごめん……」  首の後ろに、不自然な筋が二、三本あるのが指先に触れた。

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