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第8話 疑似S●X
疑 似 エ ッ チ 。
「反応があるのは凛と寝た時だけで、不能かどうか素股で試させて欲しいんだ」
素 股 。
すまたって、ちんちんを股で挟んでシコシコするアレ、か?
「嫌だったら速攻で止めるし、凛にしか頼めないんだ」
「…」
無言でジト目になる。
「見たくなかったら目隠ししてもいいし」
「それは逆にアブノーマルなのでは」
俺が熟練者なら華麗に出来たかもしれない。
しかし素人だ。
そんな経験あるはずもない。
「ごめんなさい」
「バイト代はずむし」
「もっとダメです」
「何なら俺の両手を縛っても」
「コーヒー淹れてきますね」
高見さんからべりっと体を離し、スタスタと寝室を後にした。
最近気付いたが、俺は流されやすい。
そして今回はあまりにも俺の手に余る事案だ。
一度時間を置いて、冷静に対処すべきだ。
誰かに相談出来ればいいが、こんなディープなシモ案件、口下手な俺が器用に話せる訳がない。
ネットで調べようか。
俺は久しぶりに頭を抱えた。
今日の昼食は「和風冷製えんどう豆パスタ」「3色ナムル」「フルーツサンド」だ。
パン生地は買ってもらったホットベーカリーで作った大豆粉パン。
生クリームの代わりに、水切り豆腐にスキムミルクとオリゴ糖、バニラオイルを混ぜてそれっぽくした。
甘い物大好きな母さんはよく、こうやってカロリーを誤魔化していた。
「いただきます」
「おいしい。海老と大葉の和風パスタ、やみつきなりそう」
「高見さんの財力のおかげす」
食べながら、深々と頭を下げる。
「フルーツサンドもさっぱりしてて無限に食べれるよ?
ケーキを食べてる気分だ」
「ありがとうございます」
高見さんは褒め上手だ。
しかし。
時折、俺の背中に熱い視線を感じるのは気の所為ではなかった。
――夜23時、寝室にて。
ベッドに入ると、また背後から抱き締められてしまった。
あっ、これ。デフォなんですね。
「おやすみ」
「…おやすみなさい」
素股拒否の後ろめたさもあり、強く抵抗する事も出来ず。
俺はそのまま眠りに就いた。
――翌朝。
俺は高見さんの腕の中で目覚めた。
そして今日も形を成してる股間のテント。
俺はそそくさと起き上がろうとした、が。
抱かれた太い腕が、そうはさせてくれなかった。
「…おはよう」
「おはようございます」
体を捩るが、腕の中から解放される気配はない。
「凛…」
上目遣いに甘えた声。必殺「おねだりの圧」だ。
わかっている。
高見さんは真剣にEDを治したいだけなんだ。
ぐぬぬ、と米神を押さえる。
俺は寝起きの頭をフル回転させ、腹を決めた。
「パンツ履いたままでもいいですか」
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