8 / 20

第8話 疑似S●X

疑 似 エ ッ チ 。 「反応があるのは凛と寝た時だけで、不能かどうか素股で試させて欲しいんだ」 素 股 。 すまたって、ちんちんを股で挟んでシコシコするアレ、か? 「嫌だったら速攻で止めるし、凛にしか頼めないんだ」 「…」 無言でジト目になる。 「見たくなかったら目隠ししてもいいし」 「それは逆にアブノーマルなのでは」 俺が熟練者なら華麗に出来たかもしれない。 しかし素人だ。 そんな経験あるはずもない。 「ごめんなさい」 「バイト代はずむし」 「もっとダメです」 「何なら俺の両手を縛っても」 「コーヒー淹れてきますね」 高見さんからべりっと体を離し、スタスタと寝室を後にした。 最近気付いたが、俺は流されやすい。 そして今回はあまりにも俺の手に余る事案だ。 一度時間を置いて、冷静に対処すべきだ。 誰かに相談出来ればいいが、こんなディープなシモ案件、口下手な俺が器用に話せる訳がない。 ネットで調べようか。 俺は久しぶりに頭を抱えた。 今日の昼食は「和風冷製えんどう豆パスタ」「3色ナムル」「フルーツサンド」だ。 パン生地は買ってもらったホットベーカリーで作った大豆粉パン。 生クリームの代わりに、水切り豆腐にスキムミルクとオリゴ糖、バニラオイルを混ぜてそれっぽくした。 甘い物大好きな母さんはよく、こうやってカロリーを誤魔化していた。 「いただきます」 「おいしい。海老と大葉の和風パスタ、やみつきなりそう」 「高見さんの財力のおかげす」 食べながら、深々と頭を下げる。 「フルーツサンドもさっぱりしてて無限に食べれるよ? ケーキを食べてる気分だ」 「ありがとうございます」 高見さんは褒め上手だ。 しかし。 時折、俺の背中に熱い視線を感じるのは気の所為ではなかった。 ――夜23時、寝室にて。 ベッドに入ると、また背後から抱き締められてしまった。 あっ、これ。デフォなんですね。 「おやすみ」 「…おやすみなさい」 素股拒否の後ろめたさもあり、強く抵抗する事も出来ず。 俺はそのまま眠りに就いた。 ――翌朝。 俺は高見さんの腕の中で目覚めた。 そして今日も形を成してる股間のテント。 俺はそそくさと起き上がろうとした、が。 抱かれた太い腕が、そうはさせてくれなかった。 「…おはよう」 「おはようございます」 体を捩るが、腕の中から解放される気配はない。 「凛…」 上目遣いに甘えた声。必殺「おねだりの圧」だ。 わかっている。 高見さんは真剣にEDを治したいだけなんだ。 ぐぬぬ、と米神を押さえる。 俺は寝起きの頭をフル回転させ、腹を決めた。 「パンツ履いたままでもいいですか」

ともだちにシェアしよう!