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第0-1話 出会い編・高見(攻め)視点

本編(全17話)より、4年前の出会い編。 攻め(高見)視点。拗らせの根本。 イケメン大学生(高見20歳)×親友の弟(凛15歳) *** 「高見は結婚とかしなさそう」 「まあ、しなくてもいいとは思ってる」 ここは大学の食堂。 俺はコンビニのサンドイッチを片手に、同じ大学2年生で親友「志乃 総一郎」と昼食を摂っていた。 彼は艶のある黒髪ショートヘアに眼鏡が似合う。。 シンプルな着こなしは清潔感があって好感を持つタイプだ。 「高見は自分のテリトリー荒らされるの嫌だからなぁ。 だから彼女とも続かないんだよ」 流石同胞。俺を熟知している。 「それもあるけど「奢られて当然」みたいな空気が苦手なんだよな」 「それはお前が相手を選ばないからだろ」 「そう言われてもなあ、告白されたから付き合っただけだよ」 俺は自分から告白した事がない。 子供の頃から何故か俺は、揉め事の中心になる事が多かった。 交友関係において、良く言えば「平等」、悪く言えば「他人に執着しない」。 興味は常に自分の内にあったからだ。 それが面白くないのか、周りが勝手に俺の友人の座を競って喧嘩し出す。 そしていつも先生に怒られるのは俺だった。 だから俺は、他人に期待する事をやめた。 総一郎とは中一の時、偶然隣の席になり、お互いドライな性格が合って心地よい距離で過ごしている。 俺の数少ない「本物」の友達だ。 「もう俺、人間の醜い感情とか粗方見てきたし、暫くはひとりでいいわ」 「老成するの早くないか?」 総一郎は2段重ねの弁当箱を広げていた。 野菜と肉、所謂たんぱく質中心の弁当だ。 色とりどりの弁当は、作り手の愛情が籠っている。 羨まし過ぎて、じーっと食い入る様にガン見した。 俺は料理が出来ないので、総一郎の弁当を毎日視姦するのが日課になっていた。 「今日も愛弟弁当?」 「いいだろ、凛の腕も上がってる」 俺はハート型に盛られた卵焼きを一切れ摘まみ、ぱくっと頬張る。 「うまい!中3だっけ?凄くね?」 「バイト代払ってるんだ」 「ほう?」 俺は次にミニハンバーグへ手を伸ばすが、総一郎の手でバシッと阻まれた。 彼はいつも1品まで摘まみ食いを許してくれる。 これは彼の優しさではなく「料理上手の弟自慢」である事を俺は知っていた。 「学食込んでるし、外食よりは財布浮くし、凛の懐は温まるし、一石二鳥だ」 「いーなー!俺も作って欲しい」 「学業もあるし家族限定だ、残念だったな」 「ちぇっ、いいなぁ、俺も凛君欲しいなぁ」 「やらんぞ」 この男、冷静沈着で見た目も俺と張る長身でとっつきにくい印象だが、重度のブラコンである。 でも惚気る割に、弟君の写真を見せろと言っても見せてくれないのは不思議だ。 「総一郎は明後日の飲み会、どうする?」 「俺パス」 「予定あんの?」 「王明中学の学園祭に行く、高見も来るか?」 おや?総一郎からの誘いは非常に珍しい。 「男子校かぁ、ちょっとなぁ」 王明中学は俺達の母校だが、野郎の巣窟だ。 シンプルに興味が湧かない。 「うちの弟がいる」 「いく」 事情が変わった。 俺は二つ返事で承諾した。

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